驚異の小器官 耳の科学

驚異の小器官 耳の科学

著者 杉浦彩子(すぎうら・さいこ)

聞こえる仕組みから、めまい、耳掃除まで

はじめに

 本書を手にとってくださり、ありがとうございます。
 誰もが人の話を聞いたり、音楽を聴いたり、波の音に耳を傾けたりしますが、聴覚というのは複雑でとてもおもしろい感覚です。話も音楽も自然環境の音も、物理的には同じ聴覚情報ですが、私たちは無意識のうちにこれらを聞き分けています。
 私たちはどのように音を聞いて、理解しているのでしょうか? はじめに、音とはそもそも振動であって、耳でどのように音をとらえているのか、そして脳でどのように音を聞き分けているのか、ということについて最新の知見を交えながら、できるだけわかりやすく概説しました。また、耳では音を聞き取るだけでなく、頭の位置を捉えるという重要な役割を行っています。この平衡覚の仕組についても取り上げています。
 私は耳鼻咽喉科医師です。本書を手に取られた方には、耳の病気に罹った方、罹っている方も大勢いらっしゃると思います。途中では耳の病気について、中耳炎、加齢性難聴、メニエール病など、患者さんが多く、耳の仕組を理解する上でも興味深い疾患を中心に、病気のメカニズム、最新の治療法などを取り上げました。
 最後に、耳掃除について述べました。日本人は耳かきという独自の文化を持っているますが、若い人では耳掃除のしすぎが、高齢者では耳掃除のしなさすぎが、問題となっています。耳掃除はどのように行うのが正しいでしょうか? また耳垢にまつわる様々な意外な話題を提供してみました。
 本書を読んだみなさんが、聴覚コミュニケーションの不可思議に思いをはせ、耳掃除の仕方を変えていただけたら本望の喜びです。

著者 杉浦彩子(すぎうら・さいこ)

一九七三年愛知県名古屋市生まれ。一九九八年名古屋大学医学部卒業。同大学大学院で聴覚を中心に臨床・研究に携わる。二〇〇五年医学博士。二〇〇六年より国立長寿医療研究センター耳鼻咽喉科に勤務。加齢性難聴、耳鳴、補聴器適合、外耳道衛生など高齢者の聴覚を主に研究テーマにしている。

[B1884]

驚異の小器官 耳の科学

著:杉浦彩子

小さな蝸牛はナノテク満載の超細密測定器、有毛細胞は約0・003度の傾きを感じる。ヘッドホン難聴やめまい、メニエール病ほか、あらゆる耳の不思議を科学する。

定価 : 本体860円 (税別)

ISBN : 978-4-06-257884-4

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