Raspberry Piで学ぶ電子工作

Raspberry Piで学ぶ電子工作

著者 金丸隆志(かなまる・たかし)

超小型コンピュータで電子回路を制御する

はじめに

●電子工作をRaspberry Pi上で学ぼう
 Raspberry Pi(ラズベリーパイ)は2012年に英国で誕生した、名刺サイズの超小型コンピュータです。価格が5000円前後と安価であるという特徴もあります。もともとは情報工学を学ぶ学生がコンピュータやプログラミングを学ぶための教材として作られました。実際には小学生へのプログラミング教育にも使われるほどの手軽さであり、国内外で大人気となっています。このRaspberry Piを用いて、本書では「電子工作」、「プログラミング」、「Linux系OS」に触れていきましょう。
 Raspberry Piは小型で安価であるだけでなく、モーターや発光ダイオードなどの電子工作用のパーツを直接つないで制御できるという特徴があります。通常のコンピュータでこれを行おうとすると、別途「マイコン」と呼ばれるものが必要になることが多いです。それに対し、電子部品を直接つなげるRaspberry Piは多くの電子工作ファンに愛用されています。
 この電子工作をRaspberry Pi上で学ぼう、というのが本書の目的です。すでに紹介したモーターや発光ダイオードだけではなく、スイッチ、センサ、カメラなどをプログラミングにより制御します。言語は初心者にも学びやすいPython(パイソン)という言語を用います。
 さらに、Raspberry Piはインターネットに接続してサーバーとなることも得意としています。この機能を用いて、スマートフォンやタブレット(Android/iOS/Windows)、通常のPC(Windows/Mac OS X)からRaspberry Pi上の回路を制御することを実現します。そしてそれを利用し、スマートフォンやPCからラジコンのように操作可能な模型を作成します。
 Raspberry Piのような小型のコンピュータは、これまでもエンジニア向けの開発ボードとしてたくさん存在していました。しかし、それらの「プロ向け」の小型コンピュータとは異なり、Raspberry Piは初心者でも取り扱えるような工夫がたくさんなされています。たとえば、これらの小型コンピュータはOS(オペレーティングシステム)を自分でインストールしなければならないことが多いのですが、Raspberry Piではここでつまずかないようインストールが容易になっています。また、OSのインストールが終わったらすぐに使い始められるよう、グラフィック環境やブラウザなどの便利なアプリケーションがすでにインストールされています。日本語の表示が容易なのも嬉しいところです。

●Linux系OSを用いてコンピュータを楽しもう
 皆さんの多くはコンピュータに搭載されているOSとしてWindowsやMac OS Xを思い浮かべるかもしれません。一方、Raspberry Piでは多くの場合OSとしてLinux(リナックス)ベースのものが用いられます。本書ではこれを「Linux系OS」と呼びます。Androidスマートフォンの核(カーネル)の部分や一部の家電にLinuxが使われていると聞いたことがある方もいるのではないでしょうか。
 そのため、Raspberry Piで電子工作を学ぶということは、Linux系OSの利用法を学ぶということも意味します。Linux系OSを使う上で注意しなければいけないのは、WindowsやMac OS Xなどと異なり、メーカーの保証やサポートが基本的にはないということです。そのため、問題が起こったら自分で解決法を調べねばなりません。この点に戸惑う人はいるかもしれませんが、自分で解決法を調べる過程でコンピュータについての理解を深めることもできますので、普段と異なるコンピュータ体験を楽しみながら学習を進めていきましょう。
 本書は、「電子工作」、「プログラミング」、「Linux系OS」が未体験、という方でも大きなトラブルに陥らないためのガイドとなることを目指しています。皆さんがこれらの分野に興味を持ち、さらに学習を進めていくためのお手伝いができれば幸いです。
 なお、移り変わりの早い環境への対応として本書ではサポートページを用意しました(2ページで紹介)。Raspberry PiのOSは頻繁に更新されていますので、将来のバージョンでは、本書の内容通りに操作しても記述とは異なる結果が現れるかもしれません。そのようなケースに遭遇した場合、本書のサポートページをチェックしてみてください。最新のOSでの操作方法などを追加していく予定です。また、同じサポートページでは、本書で用いるプログラムのサンプルファイルも配布しています。本書の後半になるにつれてこの配布ファイルがないと学習が進められなくなりますので、ぜひサポートページを訪れてください。
 最後になりましたが、本書の執筆中に筆者を支えてくれた家族に感謝します。

著者 金丸隆志(かなまる・たかし)

1973年北海道生まれ。博士(工学)。工学院大学機械創造工学科准教授。専門は非線形力学および計算論的神経科学。近年はスマートデバイスを用いた情報処理に興味がある。2001年、東京大学大学院工学系研究科先端学際工学専攻修了。2001年~2005年、東京農工大学電気電子工学科助手を経て、現職に至る。主な著書は『Excel/OpenOfficeで学ぶフーリエ変換入門』(ソフトバンククリエイティブ)、『理系のためのExcelグラフ入門』(ブルーバックス)など。

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