確率を攻略する

確率を攻略する

著者 小島寛之(こじま・ひろゆき)

ギャンブルから未来を決める最新理論まで

ジャンルを超えた確率の攻略本!

▼本書でいう「攻略」とは次の3つの意味である。
 ・数学者が確率を攻略する。
 ・あなたが確率を攻略する。
 ・コイン投げだけで攻略する。
 まず、本書は、数学者たちが確率を攻略してきたそのプロセスを描いた本である。数学者たちは「確率とは何か」という疑問に対して、紆余曲折、さまざまなアプローチを提出してきた。読者はきっとびっくりするだろうが、実は今もまだ、確率理論は定まっておらず、新しい発想が打ち出され続けているのである。本書は、確率のスタートから、最新の理論までを紹介する。さらに本書は、あなたが確率を攻略する、その手立てを提供する本でもある。あなたは、中学・高校と確率を習い、いつしかだんだんと、確率というものがわからなくなったのではないか、と思う。あなたは、確率を少しでも我が物としたいと願っていることだろう。そんなあなたに確率攻略の道を拓くのが本書の役目なのである。そこで、本書では、抽象的な議論をなるべく避けるために、「コイン投げ」だけを例にすべての理論を語ることにした。共通の例だけで解説されるので、理解のコストを大幅に低減できるはずである。
 以下、どんな攻略に本書が役立つか、タイプ別にプレゼンしていくこととしよう。


▼「もやもや感」を攻略する
 確率について「確率って何だ?」「確率はどこにあるんだ?」「確率は実在するのか?」等の「もやもや感」を抱いている人が多いだろう。本書では、そんな「もやもや感」と正面からつきあう。本書を読めば、そういう「もやもや感」は正当なものであり、数学者と問題意識を共有していることが発見できるに違いない。


▼科学の道具箱としての確率を攻略する
 現在の科学はすべて、確率の理論を土台に築かれている。理系分野は当然として、文系分野でも経済学等では必須の道具となっている。しかし、確率で使われる数学はあんがい抽象的なので、難儀している大学生・院生・社会人も多かろう。そんな人たちに、確率変数、期待値、条件付期待値、測度論、確率過程といった必須アイテムをレクチャーする。


▼投資を攻略する
 いまや、投資や資産運用という「お金を増やす」世界は、ものすごく多様化している。複雑怪奇な金融商品があふれている。そして、それらはすべて確率の計算の下で設計されている。金融に携わる人には、抽象的な確率の理解に挫折している人が多いだろう。本書はそんな人たちへのクイックガイドになる。デリバティブズの価格付けやマルチンゲールといった基本に触れることができる。


▼統計データを攻略する
 現在は、どんなビジネスにおいても、統計データ処理は欠かせないものとなっている。しかし、統計学を多少でも高度に勉強しようとすると、そこには確率の難解さが立ちふさがる。確率がわからなくて統計の勉強に行き詰まっている人も多いだろう。そんな社会人に、確率の記法をレクチャーする。


▼高校生が攻略する
 高校数学では確率は必修分野だ。しかし、その確率は、順列・組み合わせという「数え上げ」と区別がつかず、多くの高校生は「不確実性とどういう関係があるんだ?」という疑問でいっぱいになるだろう。そんな高校生も、(意欲さえあれば)、本書を読むことで「本物の確率」に触れることができ、確率が不確実性を捉える様子を目撃することができる。


▼大金持ちを攻略する
 本書が従来の確率本と一線を画すのは、「ゲーム論的確率」という最新のトピックを紹介していることだ。これは、「公平でない賭け」に対しては、「借金することなく、資金を無限に増やすことができる戦略がある」という定理を備える画期的な理論である。ひょっとすると、この定理に改良を加えれば、実際の金融市場で大金持ちになるチャンスだってあるかもしれない。あなたが一攫千金を狙っているならば、その手がかりとしての本書を購入することは、取るに足らない投資コストであろう(これは半ば冗談)。

著者 小島寛之(こじま・ひろゆき)

一九五八年、東京生まれ。東京大学理学部数学科卒業。同大学院経済学研究科博士課程修了。経済学博士。現在、帝京大学経済学部教授。数学エッセイストとしても活躍。著書に、『世界は2乗でできている』ブルーバックス、『数学は世界をこう見る』PHP新書、『数学的推論が世界を変える』(NHK出版新書)、『文系のための数学教室』『数学でつまずくのはなぜか』『経済学の思考法』(いずれも講談社現代新書)など多数。

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