理系のための法律入門 第2版

理系のための法律入門 第2版

著者 井野邊陽(いのべ・よう)

デキる社会人に不可欠な知識と倫理

第2版 まえがき

 近年、大学やメーカー等において実験データなどの改ざんや、ねつ造の報道が繰り返しなされ、大学における倫理教育も実践的に行われるに至っております。

 このような問題は、最終的には解雇や損害賠償などといった法的な問題に至る可能性があることから、技術者や研究者もある程度の法的知識をもって、責任ある行動を採る必要があります。法律というと、文系の職種に必要な知識であるという印象が強いかもしれませんが、現代においては、文理問わずに必要な社会常識の一つになっているといえるでしょう。

 そこで、第2版では、第1章の冒頭に「倫理」についての記述を新たに設け、法律を理解するうえで必要な倫理観のとらえ方を示しました。そして新設の第11章において、データのねつ造などに関する諸問題を取り上げ、不正行為が起こる背景、発覚したらどうなるのか、不正行為の疑いをかけられないようにするためにはどうすればいいか、という点を解説することとしました。

 また、平成21年4月に上梓した『理系のための法律入門』初版以降、特許法、著作権法、商標法、不正競争防止法といった知的財産権法をはじめ、表示に関する法規が改正・再編されています。さらに今後、環太平洋パートナーシップ協定(TPP協定)も具体的に進む方向にあり、著作権も対象となることが決まっています。

 これらの改正をふまえ、第2版となる本書を出版させていただく運びとなりました。大学やメーカーにおいて知的財産等にかかわる技術者や知的財産部などの法務に携わる方など、より多くの人が親しめる法律の入門書として、初版よりもより丁寧に分かりやすい解説になるよう、加筆しました。新たな裁判例も紹介しています。

 努力を重ね、研究や開発で素晴らしい結果を出せたとしても、あなたの行為に法律上の不備があれば、その成果は水の泡になりかねません。成果主義の傾向が強まっている現代社会において、法律の知識は、自らの身を守り、組織で生き抜くための武器になるはずです。

 筆者は現在、弁護士・弁理士としての職に就いていますが、大学の理科系の学部に所属して研究論文等を執筆し、その後、メーカーにおいて設計業務に従事した理系出身者です。こうした法的知識を、技術者・研究者の立場からコンパクトにできる限り分かりやすく説明することをライフワークとして取り組んできました。

 本書の知識が、読者のみなさんの活躍の場をより広げることを、願っています。

 最後に、多方面からサポートいただいた株式会社講談社の家田有美子氏をはじめとして、様々な方からご指導いただきました。この場をお借りしまして、深甚なる感謝の意を表します。

著者 井野邊陽(いのべ・よう)

一九六七年、大阪市生まれ。井野邊陽特許法律事務所所長(大阪市中央区)。弁護士。弁理士。京都大学農学部卒、同大学院農学研究科修士課程修了。一九九二 年、株式会社荏原製作所に入社し、風水力事業の設計業務に従事する。二〇〇一年司法試験合格、二〇〇三年弁護士登録。大阪府立大学工学部(「工学倫理」担 当。二〇〇四年より)他、大学における非常勤講師も務める。著書に『技術者のための倫理と法律』(ナカニシヤ出版)がある。

[B1958]

理系のための法律入門 第2版 デキる社会人に不可欠な知識と倫理

著:井野邊陽

技術者・研究者が知らないと痛い目にあう法律の知識とは? 知的財産法やPL法の基礎に加え、TPPや研究不正に関する最新情報まで。

定価 : 本体1,300円 (税別)

ISBN : 978-4-06-257958-2

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