重力波で見える宇宙のはじまり

重力波で見える宇宙のはじまり

Pierre Binetruy(ピエール・ビネトリュイ)
監訳 安東正樹(あんどう・まさき)
訳 岡田好惠(おかだ・よしえ)

「時空のゆがみ」から宇宙進化を探る

はじめに

本書は皆さんを重力波の世界へと誘う一冊です。とくべつな科学知識は必要ありません。アインシュタインの一般相対性理論の骨格をなす長々しい方程式も、ここには登場しません。難解な数式を一切使わず、物理研究の最先端にいる研究者たちによって、盛んに議論されている宇宙物理学のすばらしい理論や考え方を、一般の皆さんにわかりやすく解説するのが、本書の目的なのです。

とはいえ、ときには難しい話題もあるでしょう。けれども心配はご無用。理解に必要なツールはすべて、本書の中に用意されています。序章には、本書の全体的な展望を記しました。読書のルートマップとして活用してください。序章を頭に入れておけば、安心して読み進められるはずです。各章ごとに登場する概念や技術を学び、確かめながら、次の章へ進んでください。

熱心に読んで、もっと知りたいという読者のために、各章の最後には『Focus』と題したまとめのコラムを用意しました。次の章へのヒントとしてご利用ください。もちろん独立した話題としても、興味深く読んで頂けると思います。

そして巻末には、便利なツールをもう2つ、用意しました。用語集とさくいんです。用語集を一読すると、本書で扱われる各テーマが、新たなつながりをもってあなたの前に現れることでしょう。用語集で個々の用語を再認識してください。それが本書を別の角度から照らし出すことになり、ひいては本書の全体を、さらに深く理解して頂くことにつながると思います。

この先、数年間は、宇宙物理学の当たり年になると、私は確信しています。新発見も次々と起きるに違いありません。そのとき、この本を取り出し、さくいんを引いてみてください。その新発見に関わる説明や、そのような考えや発見の進歩に貢献した科学者たちがすぐにわかります。

本書は、現在も将来においても、私たちの宇宙理解のための有益なツールであり続けることを願ってやみません。

末筆ながら、本書を上梓するにあたってお世話になった多くの方々に心からの感謝を捧げます。さまざまな会議や講義や講演で受けた、宇宙物理学に関する彼らの質問と質疑を少しずつまとめた結果が本書なのです。わけてもマリー・モディル・モンシクールとミシェル・スピロによって創設された「オリジン(Origin)研究室」の研究員諸氏、ジャーナリスト、学生、友に感謝いたします。本書の執筆を熱心に勧めてくださった本書の出版元デュノ(DUNOD)社のアンヌ・ブルギニョン、ジャン?リュック・ロベールにも心からのお礼を申し上げます。熱心に下読みをしてくれた、ゴルカ、アドラ、ジェラール・オージェ、マリ・ヴェルルール、ありがとう。ほんとうに助かりました。そして、読者の皆さんにも心からのお礼を申し述べます。

2014年12月30日 アヌシーにて
著者 ピエール・ビネトリュイ

 

【第2版 追記】

本書の初版で、この章を書いたとき、私はまさか重力宇宙の歴史がこれほど速やかに書き換えられるとは、思ってもみませんでした。ところが、初版刊行のわずか6ヵ月後、2016年2月11日に、重力波望遠鏡プロジェクトLIGOが、ついに重力波を検出したと発表されたのです。アインシュタインがその存在を予言してから、奇しくも100年後の快挙でした。重力宇宙について書かれた本書には、願ってもない吉報です。

 この場を拝借し、英語とフランス語のオンライン講座『Gravite!(重力!)』に参加してくださった9万人の皆さんに心から感謝申し上げます。

2016年9月 パリにて    
著者 ピエール・ビネトリュイ

Pierre Binetruy(ピエール・ビネトリュイ)

1955年生まれ。フランスの理論物理学者。欧州宇宙機関(ESA)の宇宙重力波望遠鏡ミッション(LISA)の協力メンバー。フランスにおける重力波研究の第一人者。パリ・ディドロ大学教授職を経て、2006年に同校付属の宇宙物理学研究機関APC(AstroParticule et Cosmologie)の設立メンバーとなり、2013年まで所長。2017年、逝去。1999年、ポール・ランジュバン賞受賞。

監訳 安東正樹(あんどう・まさき)

京都大学理学部卒業。東京大学大学院理学系研究科物理学専攻博士課程修了。同大学助教、国立天文台光赤外研究部重力波プロジェクト推進室准教授などを経て、現在、東京大学大学院理学系研究科物理学専攻准教授。専門は重力波天文学・相対論実験。著書に『重力波とはなにか』(講談社ブルーバックス)。

訳 岡田好惠(おかだ・よしえ)

青山学院大学仏文科卒業。主な著書に『アインシュタイン』(講談社)など。主な訳書に『三銃士』(学研プラス)、『新訳ジャングル・ブック』(講談社)、『灯台の光はなぜ遠くまで届くのか』(講談社ブルーバックス)など。

[B2027]

重力波で見える宇宙のはじまり

著=ピエール・ベネトリュイ,
監訳=安東正樹,
訳=岡田好恵

初観測に成功し、「重力波天文学」の幕が明けた。宇宙のはじまりはどこまでわかるのか? 宇宙論最大の謎に迫る!

ISBN : 978-4-06-502027-2

ページTOPへ