世界の名作 数理パズル100

世界の名作 数理パズル100

中村義作(なかむら・ぎさく)

推理力・直観力を鍛える

はじめに

 パズルの大きな特徴は、数学の問題などと違って、予備知識がほとんどなくても、出題の主旨を容易に理解できることにあります。このため、知的な好奇心をお持ちの読者なら、一度はパズルに挑戦した経験があると思います。このようなわけで、パズルの愛好者はじつに多く、書店の店頭には何種類ものパズル雑誌がいつでも並んでいる状態です。パズルは、余暇を過ごすときの頭の体操として、格好の材料を与えてくれるのです。

 しかし、いざ問題を解こうとすると、それこそ小学生でも解ける簡単なものから、高度な知識を持った大人でも難渋するものまで、じつに多種多様なものが含まれています。直感ですぐに解けるものは電車の中でも楽しめるし、洞察力や推理力を必要とするものは本格的に取り組むことを要求します。また、ときには数学の知識の援用が不可欠なものまで存在して、熱烈なパズルの愛好者を喜ばせています。このあたりが、さまざまな愛好者を魅了しつづけている一因なのかもしれません。

 この本では、多くのパズル愛好者を唸らせる名作パズルだけを集めました。発想ひとつで解ける問題であっても、その発想は読者を驚嘆させる見事なものばかりです。また、相当の努力をしないと解けない問題であっても、解いたあとに残る爽快さは、その人にしか味わえない魅惑的なものを選びました。こんなわけで、この本は「パズル名作選」といえるものと自負しています。ただし、本の体裁を整えるため、解答に多数のページを必要とするものは、いくら名作と呼ばれるものであっても、採択を断念しました。

 じつは、この本には底本があります。いまからおよそ30年前の1986年1月に、講談社から出版した『選びに選んだスーパー・パズル』です。当時の第三編集局企画部長の安藤和雄氏から、「世界の名作パズルや難問パズルだけを集めて、一冊の本にできないか」という相談を受け、大変な努力を重ねて上梓した本です。当時でも、洋の東西を問わず、パズル関係の図書は巷にあふれていて、問題の選択には大変苦労をしました。こうして、著者の好みも多分に加味されているものの、なんとか100問を選ぶことができました。ただし、付記しなければならないことがあります。それは、名作パズルといっておきながら、著者自身の作品を20問ほど加えたことです。自分の作品を自分で名作と呼ぶのはおこがましい次第ですが、編集部の意向で加えることになったので、その辺の事情はご賢察いただきたいと思います。なお、この本のひとつの大きな特徴は、問題ごとにその源流をできるかぎり明らかにしたことです。「パズルミニ百科」として、解答の下に解説を付けました。

 今回、この『選びに選んだスーパー・パズル』を全面的に改訂し、ブルーバックスの一冊、『世界の名作 数理パズル100』として出版するに当たっては、学芸部ブルーバックスの編集部の皆さんに大変お世話になりました。なかでも、善戝康裕氏には拙宅までわざわざご来駕いただき、改訂の主旨と内容を詳細に説明してくれたうえ、改訂のための作業を引き受けてくれました。来年の1月に卒寿を迎える著者の気力をおもんばかってのこととはいえ、改訂の作業を代行してくれたことにお礼の言葉もありません。

2017年10月
中村義作

中村義作(なかむら・ぎさく)

1928年、東京都に生まれる。1952年日本大学工学部電気工学科を卒業。同年電気通信省の技官となる。1976年信州大学工学部教授、1989年静岡県立大学経営情報学部教授、1996年東海大学教育研究所教授となる。専攻は組み合わせ数学。趣味は多彩だが、数理パズルの世界ではつとに有名。著書に、『解ければ天才! 算数100の難問・奇問』『パズルでひらめく補助線の幾何学』『代数を図形で解く』(いずれも講談社ブルーバックス)の他、専門書・一般書など多数。

[B2039]

世界の名作 数理パズル100 推理力・直観力を鍛える

中村義作

推理力、直観力、発想力、論理力をフル稼働して挑戦する、バラエティ豊かな、名作数理パズルの世界!

定価 : 本体920円 (税別)

ISBN : 978-4-06-502039-5

既刊一覧

連載読み物

生命1.0への道

第3回 ダークホースかもしれない隕石衝突

文 藤崎慎吾

 第2回の最後でお願いしたアンケートだが、回答数がまだ19件である。ブルーバ...

2018/01/11

ページTOPへ