『ジムに通う人の栄養学』

『ジムに通う人の栄養学』

著者 岡村浩嗣(おかむら・こうじ)

スポーツ栄養学入門

まえがき

 栄養・食事の効果と体を動かすことの効果は相互に影響しあう。たとえば、体を動かさないで食べると体脂肪が合成されて太るのに対して、体を動かしてから食べると筋肉の合成が促進されやすい。
 運動後の栄養は、早めに補給したほうが数時間経ってから補給するよりも筋肉が合成されやすい。このように、同じものを食べたり飲んだりしても、摂取タイミングが違えば栄養効果が違う。
 筋肉を増やしたり体脂肪を減らしたりするのは、運動の目的の筆頭格といえる。そうした目的をより早く、より確実に達成するには、そのための栄養・食事法がある。
 こうした栄養・食事法は、競技スポーツをおこなっているアスリートを対象にしたものと思わ
れている方が多いかもしれない。しかし、スポーツ栄養学はアスリートのためだけのものではない。ジムに通ったりして健康のために体を動かしている人にも役立つ。
 本書では、そのようなアスリートではない健康のために体を動かしている人が、日頃の運動と栄養・食事の効果を高めるのに役立つことがらを、科学的なエビデンスに基づいて紹介する。
 著者は学生時代に恩師から「これを食べてはいけない」とか「これを食べなければいけない」といった、脅迫の栄養学をしてはいけないと教わった。「栄養バランスの良い食事をしなければ……」と思わせることは、栄養学を知らない人には「脅迫」になりかねない。そもそも、人が昔から食べてきた食べ物であれば、体に悪い食べ物はない。体に悪いとすれば、食べ過ぎなど食べ方が良くないだけだと思う。
「栄養バランスの良い食事」のレシピを紹介する書籍はたくさんある。しかし、それらの多くは、料理に慣れていない人や、料理はできない、したことがない、する時間がないといった人には残念ながらほとんど役に立たない。
 本書は、そうした人にも役立つ内容になるように心がけた。たとえば、本書では「意外に悪くない朝食」や「夕食は鍋」など、手軽にできる食事を紹介している。こうした内容を見ていただいて、「栄養バランスの良い食事」は難しいものではないのだということを知るきっかけとなってくれればとも考えている。
 現代の日本では、健康に良いとされる食品がいろいろと研究・開発されている。しかし、問題なのはむしろエネルギーが過剰なことである。何かを食べたら健康に良いというよりも、食べないほうが健康に良いのだといえるのではないか。「食べないほうが」というのはエネルギーが過剰な状態の人が、摂取エネルギーを減らして余分な体脂肪を減らすことを意味する。一方、運動することは、消費エネルギーを増やすことでエネルギーが過剰な状態を改善する。両者はエネルギーが過剰な状態を改善するという目的は同じである。ただし、体に対する影響は同じではない。
 運動の効果を高めるにはどんな栄養・食事が良いのか、教えてもらえるトレーナーや栄養士がいない方、アスリートではないけれど健康のために体を動かしたり、余暇でスポーツをしている方に、スポーツ栄養学の入門書としてお読みいただければと思う。

著者 岡村浩嗣(おかむら・こうじ)

1984年、筑波大学大学院体育研究科修了。大塚製薬株式会社佐賀研究所主任研究員などを経て、2003年より大阪体育大学大学院スポーツ科学研究科・同大学体育学部教授。博士(学術)。スポーツ栄養学、運動栄養学専門。日本栄養・食糧学会、日本体力医学会等学会での発表のほか、スポーツ指導者、スポーツ栄養士等への講習も行う。

[B1807]

ジムに通う人の栄養学

著:岡村 浩嗣

アスリートではない普通の人たちが運動をする際に知っておきたい栄養と食事の知識。健康のためジムに通う人に向けた、スポーツ栄養学の入門書。

定価 : 本体860円 (税別)

ISBN : 978-4-06-257807-3

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