【サイエンス 7days】 第37回 10月10日~10月16日

  • 2016/10/10

    • ニュース

    第37回 10月10日~10月16日
    世界初の全身麻酔手術に成功

    地球のみなさん、こんにちは。毎度おなじみ、ブルーバックスのシンボルキャラクターです。今週も "サイエンス7days" のコーナーをお届けします。

    "サイエンス7days" は、あの科学者が生まれた、あの現象が発見された、など科学に関する歴史的な出来事を紹介する「この日なんの日」のコーナーです。

    第37回は今日10月10日から10月16日までの一週間をみていきましょう。

    10月10日 孤高の科学者キャヴェンディッシュが生まれる(1731年)

    この日、水素の発見などで知られる科学者ヘンリー・キャヴェンディッシュがフランスで生まれました。キャヴェンディッシュはイギリスの名門貴族の出身で、ケンブリッジ大学を卒業したのち、莫大な財産を使って数々の実験を行いました。前述の水素の発見や地球の密度測定など、優れた業績で生前から広く知られていましたが、じつはその他にも「クーロンの法則」や「オームの法則」などを独自に発見していたことが死後に明らかになったことでも有名です。人とかかわることを避け、一人で実験することを好んだキャヴェンディッシュは、研究成果を論文として発表することで、評価を得るという科学界の常識から外れた奇特な人物だったのです。また、彼の一族の寄付によって設立されたケンブリッジ大学「キャヴェンディッシュ研究所」は、現在でも最先端の研究所として続いており、DNAの二重らせん構造を発見したワトソンとクリック、や今年のノーベル物理学賞を受賞したデービッド・サウレス、ダンカン・ホールデン、イケル・コスタリッツの3人もこの研究所の出身なんだそうです。

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    『光と電磁気』
    科学者がひとりで実験を行い、大発見を成し遂げていたキャヴェンディッシュの時代から、高等数学を駆使した電磁気学の完成まで。現代物理学の源流に迫ります。

    10月11日 パイオニア1号の打ち上げ(1958年)

    この日、アメリカ航空宇宙局(NASA)の最初の探査機となるパイオニア1号が、ケープカナベラル空軍基地から打ち上げられました。パイオニア1号は月の探査を目的としていましたが、打ち上げロケットの不調により、月まで到達することができず、打ち上げからわずか43時間後に地球の大気圏に突入するという最期を迎えました。NASAは、これに続く2号、3号でも打ち上げに失敗してしまいましたが、4号でようやく月に探査機を送ることに成功しました。現在では、数々の宇宙ミッションを成功させているNASAも、最初は失敗続きだったことを知ると、すこし勇気づけられる気がしますね。


    パイオニア1号 直径74センチメートル、高さ76センチメートルの機体は、本体部分がプラスチックでできており、重量はわずか34.2キログラムしかありませんでした。(写真:NASA)

     

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    『小惑星探査機「はやぶさ」の超技術』
    絶対絶命と思われた状況を何度も切り抜け、プロジェクトを遂行できた本当の理由とは? プロジェクトリーダーと技術者、研究者たちがそのとき何を考え、どう行動してきたのか、その舞台裏がはじめて明かされます。

    10月12日 ハーバー・ボッシュ法の特許出願(1908年)

    この日、20世紀最大の発明のひとつとされるアンモニアの合成法「ハーバー・ボッシュ法」の特許が、ドイツ人化学者フリッツ・ハーバーによって出願されました。窒素と水素を1:3の体積比で混合させ、直接反応させるこの合成法は、ハーバーが最初に実験室で成功し、のちに化学メーカーBASFの研究者ボッシュらが、500度程度の温度と100気圧以上の圧力をかけた状態で、さらに鉄の触媒を用いる工業化の手法を開発しました。アンモニアは化学肥料の原料にもなり、これによって食糧問題を一気に解決したことから、ハーバーは「空気からパンをつくった人」とも言われたそうです。

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    『分子レベルで見た触媒の働き』
    化学反応を効率的に進める「触媒」。中学理科で登場する、よく知られた現象ですが、じつはその原理は最近までわかっていなかったそうです。最先端の表面科学が明らかにしたおどろきの仕組みを、じっくり解説します。

    10月13日 華岡青洲が世界初の全身麻酔手術を実施(1804年)

    江戸後期の外科医・華岡青洲(はなおかせいしゅう)が、この日、世界初となる全身麻酔による手術に成功しました。青洲はオランダ医学に漢方を取り入れた外科治療を得意とし、この年に曼陀羅華(まんだらげ、別名チョウセンアサガオ)を利用した麻酔薬「通仙散(つうせんさん)」を完成させたところでした。この薬の完成までには、妻の失明や、母の中毒死という多大なる犠牲が伴いましたが、製法が確立された後は多くの手術に役立てられたそうです。なお、「通仙散」は青洲の弟子のみが教えられる秘伝の薬であったため、その作り方や成分などの記録は残っていないそうです。西洋でのエーテルによる全身麻酔の実施は1846年のことですので、日本はじつに40年も先を行っていたことになります。先日のノーベル賞では大隅先生が医学賞を受賞されましたが、江戸時代にも世界の最先端の医療が日本にあったということには驚かされます。

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    『麻酔の科学 第2版』
    何も知らないまま、平気で手術をまかせられますか? 試行錯誤の歴史から、最新の麻酔薬、装置、施術法まで、手術を支える麻酔と麻酔科医のすべてを解説します。

    10月14日 日本初の体外受精児が誕生(1983年)

    この日、両親の精子と卵子を体外で受精させ、母親の子宮に戻して発育させた日本初の「体外受精」による赤ちゃんが、東北大学医学部付属病院で誕生しました。体重2544グラム、身長44センチの女児でした。この出産に関して、当時は倫理の面から反対の声もあがりましたが、現在では不妊治療のひとつとして定着しており、2013年には全出生者の24人に1人が、体外受精で生まれているそうです。つい先日、母親と父親のDNAにくわえ、ドナーのDNAも受け継いでいる、3人のDNAを持つ赤ちゃんが誕生したというニュースが報じられました。生殖医療・不妊治療は日々進歩しており、30年前には考えられなかったようなことが、次々に起っています。変化の早い時代にこそ、しっかりとした知識をもって、あやふやな情報に流されないことが大切なのではないでしょうか。

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    『不妊治療を考えたら読む本』
    日本は、世界でいちばん「妊娠できない不妊治療」が行われている国だった!? 第一線の専門医と出産ジャーナリストが「本当に必要な知識」を伝授します。

    10月15日 光の波動説の論文(1815年)

    フランスの物理学者フレネルが、この日、科学アカデミーに「光の回折について」と題する論文を提出しました。当時は光は粒子であるという「粒子説」が主流でしたが、フレネルは光の回折・直進を波の運動によって説明し、光は波であるという「波動説」を主張しました。粒子説と波動説は、最終的にはどちらも正解であることが量子論から明らかになるわけですが、20世紀に入ってアインシュタインが光量子仮説を提唱するまでの約一世紀の間は、フレネルの論文をきっかけとした波動説が主流だったそうです。また、フレネルは、光の干渉実験のためのプリズムや、灯台で使われるフレネルレンズなど実用的な器具の考案者としても知られています。

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    『高校数学でわかる光とレンズ』
    大学学部レベルの光学の基本知識を、高校数学で理解できるようにじっくり解説。少し本格的に光学を勉強してみたいという方にぴったりの一冊です。

    10月16日 指紋法の導入(1908年)

    指紋の分類によって、個人を識別する「指紋法」が警察に導入され、この日から受刑者の指紋徴取が開始されました。指紋は、汗の穴がうねのように連続した「隆線」が作る紋様で、各人各指に固有(一卵性双生児でも異なる)、終生不変のものです。犯罪捜査のほか、親子識別にも利用されてきましたが、近年はスマホのロックを解除するパスワードの代わりとしても使われています。こうした技術の発展によって、指紋データも氏名や生年月日と同様に個人情報として扱うべきであるという議論も始まっているそうです。ちなみに、わたしの場合は指紋の情報どころか、まだ名前もないので、個人情報の漏洩などを気にする必要はなさそうです。

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    『DVD&図解 見てわかるDNAのしくみ』
    指紋に替わって、個人識別に利用されるようになったのがDNA検査です。なぜひとりひとりが異なるDNAをもっているのか、どのように複製されるのか、わかりやすい映像で基礎から学べます。

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