【サイエンス 7days】 第42回 11月14日~11月20日

  • 2016/11/14

    • ニュース

    第42回 11月14日~11月20日
    湯川秀樹が中間子理論を発表

    地球のみなさん、こんにちは。毎度おなじみ、ブルーバックスのシンボルキャラクターです。今週も "サイエンス7days" のコーナーをお届けします。

    "サイエンス7days" は、あの科学者が生まれた、あの現象が発見された、など科学に関する歴史的な出来事を紹介する「この日なんの日」のコーナーです。

    第42回は今日11月14日から11月20日までの一週間をみていきましょう。

    11月14日 惑星探査機「マリナー9号」が火星に到達(1977年)

    1971年5月30日にアメリカ・フロリダ州のケープカナベラル空軍基地から打ち上げられた、NASAの火星探査機「マリナー9号」は、この日火星に到達し、地球以外の惑星をまわる初の人工衛星となりました。マリナー9号が、火星の上空1500キロメートルから撮影した高解像度の画像からは、巨大な火山や渓谷の存在が明らかになっています。また、火星をまわるふたつの衛星「フォボス」と「ダイモス」の撮影にも成功しており、合計で7629枚もの鮮明な画像を、遠く離れた地球まで送信しました。当時は、わたしが地球にやってきて14年ほどたったころでした。マリナー9号が送ってくれた、故郷の大地の写真がとても懐かしかったことを覚えています。


    マリナー9号が撮影した、水路のように見える火星の地形。(画像:NASA/JPL-Caltech)

     

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    『太陽系シミュレーター Windows7/Vista対応版』
    パソコンの中で太陽系の運動を完全再現! 火星旅行や土星の輪くぐりを自宅で体験できるシミュレーションソフト付きです。

    11月15日 上越新幹線開業(1982年)

    この日、埼玉県の大宮から新潟までをつなぐ上越新幹線が開業。各駅停車の「とき」と、途中駅を通過する「あさひ」のふたつの系統で運転を開始しました。多雪地帯を通る上越新幹線は、すでに開業していた東海道・山陽新幹線では考慮されていなかった雪対策が必要となり、降った雪を線路わきに設置したスプリンクラーで融かして排水する装置など、新技術が導入されました。また、コンクリートの上にレールを敷く「スラブ軌道」を採用したことで、乗り心地も安定し、開業直後は、窓枠に立てたエンピツが倒れないほどだったといわれています。上越新幹線の最高速度は時速240キロメートルで、東京駅から新潟駅までの所要時間はわずか2時間足らず。冬季にはスキー客に向けた臨時列車も運行されるなど、雪の多い地域で活躍している新幹線です。

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    『新幹線50年の技術史』
    ブルーバックス創刊の翌年に誕生した新幹線も、現在では52歳。その開発段階から参加し、人生を共にした第一人者・曽根悟さんが語る、本当の新幹線の歴史です。

    11月16日 フランスの哲学者ダランベールが生まれる(1717年)

    数学・物理学・哲学など幅広い分野で活躍したジャン・ル・ロン・ダランベールが、この日、フランスのパリに生まれました。ダランベールは大学では法学を学び、弁護士をしていましたが、その後ほぼ独学で知識をたくわえ、数学者に転向しました。彼の名前を一躍有名したのが1743年に出版された『動力学論』です。このなかでダランベールは、ニュートンの運動方程式は、慣性抵抗という仮想的な力を導入することで、力のつり合いの問題に還元できる、という「ダランベールの原理」を示しました。この論文の評判がきっかけとなり、哲学者のディドロやジャン=ジャック・ルソーらとともに『百科全書、または学問・芸術・工芸の合理的辞典』と題された、18世紀フランスの知を集結した大著の執筆に関わることになりました。さまざまな対象を研究した彼の名前は、「ダランベールの微分方程式」「ダランベールのパラドックス」など、科学用語のなかにいまでも数多く残っています。

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    『新しい高校物理の教科書』
    これ一冊で高校の物理をまるごとカバー。力学の基礎となる力のつり合いや、ニュートンの運動方程式について学びなおすのに最適な、大人のための教科書です。

    11月17日 湯川秀樹が中間子の理論を発表(1934年)

    この日、物理学者の湯川秀樹は、東京で開催された日本数学物理学会において、「On the Interaction of Elementary Particles(素粒子の相互作用について)」と題する講演を行い、中間子仮説を世界で初めて発表しました。中間子仮説とは、原子核がバラバラにならずに結合していられる理由を、中間子という未知の粒子によって説明したものです。当時、物質の最小単位は、陽子、中性子、電子の三つだけだと考えられていたため、この説はあまり関心をもたれませんでしたが、1936年にアンダーソンが宇宙線のなかにミュー粒子を発見すると、湯川の提唱した未知の素粒子という可能性に注目が集まるようになります。そして11年後の1947年、イギリスの物理学者パウエルがパイ中間子を発見し、湯川の仮説の正しさが証明されたのです。湯川が日本人として初めてノーベル賞を受賞したのは、それからわずか2年後の1949年のことでした。

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    『クォーク 第2版』
    湯川秀樹とおなじくノーベル賞を受賞した南部陽一郎先生による、素粒子物理学の入門書です。中間子仮説からはじまった、物質の究極をつきとめる挑戦に迫ります。

    11月18日 フランスの発明家ダゲールが生まれる(1787年)

    実用的な写真の発明者として知られるフランスの画家・発明家ルイ・ジャック・マンデ・ダゲールが、この日、フランスのパリ近郊で生まれました。ダゲールはもともと舞台背景を描く画家として活躍していましたが、ピンホールカメラの原理を使った絵画の作成に取り組むうちに、写真に興味をもつようになります。感光材で像を写し出す世界初の写真を発明したニエプスと共同で研究を進め、1831年に、ヨウ化銀を塗布した銅版をカメラに装着して露光し、水銀蒸気で現像する「ダゲレオタイプ」を開発しました。それまで半日ほどもかかっていた写真撮影が、わずか10~20分ほどですむこのカメラは、すぐさま話題となったそうです。フランス政府はこの発明を、生涯年金と引き換えにタゲールから買い取り、一般に公開したため、世界中に急速に広まることとなりました。


    タゲールによるセルフポートレイト

     

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    『図解・カメラの歴史』
    ダゲールから始まり、万能カメラ一眼レフの誕生まで。フィルムカメラを中心に、カメラの歴史とその原理を写真と図版で紹介します。

    11月19日 衝突型加速器「トリスタン」のトンネル起工式(1982年)

    この日、日本初の本格的な衝突型加速器「トリスタン」の建設が、つくばの高エネルギー研究所ではじまりました。トリスタンは地下に建設された、周長が3018メートルの環状の加速器で、電子と陽電子を光速に近い速度まで加速して衝突させることができます。装置の完成した1986年から1995年まで、約10年間にわたって実験が行われ、最大の目標であったトップクォークの発見には至りませんでしたが、強い相互作用の研究において成果を挙げています。トリスタン実験の終了後は同じトンネルに、「Bファクトリー加速器」という新しい加速器が設置され、小林・益川理論の検証などが行われました。現在、この装置はさらなるアップグレードが進められており、再稼働後は宇宙から反物質が消えた謎に迫る実験がはじまるそうですので、期待して成果を待ちましょう!

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    『消えた反物質』
    なぜ宇宙は「物質」だけでできているのか? ノーベル物理学賞受賞者である小林誠さんが「対称性の破れ」とはなにかを、一般向けにやさしく解説した一冊です。

    11月20日 アメリカの天文学者ハッブルが生まれる(1889年)

    宇宙膨張の発見者として知られる、アメリカの天文学者エドウィン・ハッブルが、この日、アメリカのミズーリ州に生まれました。ハッブルの発見は、「多数の銀河を観測すると、遠い銀河ほど速い速度で地球から遠ざかっているように見える」というものでした。これは、宇宙が一様に膨張していることを示すもので、天文学におけるもっとも大きな発見のひとつといわれています。じつは、宇宙が膨張するという可能性は、アインシュタインの一般相対性理論からも予想されており、ハッブルの発見はこれを実証したものだったのです。ちなみに、ハッブルが実際に観測したデータが下の図。この図から導かれた宇宙膨張の速度は、最新の測定結果より10倍近く速いものでしたが、宇宙が膨張しているという結論は間違ってはいませんでした。


    ハッブルが1929年に発表したデータ。横軸は銀河までの距離、縦軸は銀河が遠ざかる速度。

     

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    『インフレーション宇宙論』
    宇宙のはじまりでは何がおこったのか? 最新のインフレーション理論を、提唱者が思いきりやさしく書いた一番わかりやすい入門書です。

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