【サイエンス 7days】 第43回 11月21日~11月27日

  • 2016/11/21

    • ニュース

    第43回 11月21日~11月27日
    人類が初めて空を飛ぶ

    地球のみなさん、こんにちは。毎度おなじみ、ブルーバックスのシンボルキャラクターです。今週も "サイエンス7days" のコーナーをお届けします。

    "サイエンス7days" は、あの科学者が生まれた、あの現象が発見された、など科学に関する歴史的な出来事を紹介する「この日なんの日」のコーナーです。

    第43回は今日11月21日から11月27日までの一週間をみていきましょう。

    11月21日 気球をつかって初飛行(1783年)

    この日、フランスのモンゴルフィエ兄弟は、人類史上初となる熱気球による有人飛行を成功させました。当時のフランス国王ルイ16世も見守るなか、パリ西部のブローニュの森から飛び立った熱気球は、科学者ピラートル・ド・ロジェと軍人フランソワ・ダルランドの二人をのせ、25分間かけて約8キロメートルを飛行したそうです。煙突から煙が空へのぼっていくのを見て熱気球を思いついたというモンゴルフィエ兄弟は、もともと製紙業を営んでおり、このときの気球も紙製のものでした。初飛行は安全性が保証されていなかったため、囚人を乗せることをルイ16世は提案しましたが、ド・ロジェとダルランドは人類初飛行の名誉を汚してはいけないと国王を説得し、自ら搭乗を志願しました。見事に気球を操り実験に成功した二人は、人類で初めて空を飛んだ人物として名を残すことになったのです。


    1786年に描かれた、モンゴルフィエ兄弟の製作した熱気球の姿。直径や重量などの各種データもあわせて記されている。

     

    オススメ関連書籍はこちら
    『傑作!物理パズル50』
    気球の中に詰まっているのはもちろん空気ですが、その重さってどれくらいあるかご存じですか? 物理のエッセンスが詰まった、選りすぐりの50問にぜひ挑戦してみてください。

    11月22日 レーマーが光の速さの測定結果を発表(1675年)

    デンマークの天文学者オーレ・レーマーは、パリの王立天文台で得た観測結果をもとに光の速度を算出し、この日、その結果をフランス科学アカデミーに報告しました。レーマーの手法は、木星の衛星「イオ」が木星本体の背後に隠れる「食」のタイミングが、計算から得られる理論値と、実際に観測される値とで異なっていることに着目したものです。この理論値と観測値のずれは、光が有限の速度をもっていると考えれば、矛盾なく説明することができ、さらにずれの大きさから光の速度が求められます。レーマーは精度よく「食」のタイミングを計測することで、光速度を秒速27万7000キロメートルと算出しました。これは正確な光速度の値から10%もずれていない正確なものでした。

    わたしたちが見ている夜空の星の光は、何万年も前に星の表面から放射された光だということは、みなさんご存じですよね。じつは、木星の衛星からやってくる光も40分くらい前に、衛星の表面で反射した光なのです。つまり、木星の後ろから「イオ」が出てきた、と私たちが認識する何十分も前に、イオはその場所を通過していたということなります。日常生活ではまったく実感できない光の速度をもってしても、太陽系を旅するというのはこんなに時間のかかることなんですねぇ。ちなみに、わたしの故郷の火星までは光の速さなら3分ほどで到着です。

    オススメ関連書籍はこちら
    『光と重力 ニュートンとアインシュタインが考えたこと』
    レーマーが光の速度を算出するために必要としたのは、光の正確な測定と、太陽と惑星の重力から導かれる正確な軌道計算の結果です。「光」と「重力」という、二つのキーワードから、古典物理学発展の過程をたどります。

    11月23日 世界初の素潜り100メートルを達成(1976年)

    この日、映画『グラン・ブルー』のモデルとしても知られるフランスの海洋生物学者ジャック・マイヨールが、素潜りの世界記録に挑戦し、みごと水深100メートルの潜水に成功しました。マイヨールは、この記録を達成するために、座禅やヨーガなどの瞑想をヒントにして、呼吸数・心拍数をおさえて消費エネルギーを少なくする訓練を積んだそうです。潜水100メートルを達成した際の呼吸停止時間は、なんと3分40秒。つまり、カップラーメンが出来上がるまで一呼吸もせずに待つことができてしまうほどの長さです。しかし、これで驚くなかれ。ギネス世界記録によれば現在の息止め最長記録は24分03秒! カップラーメンが出来上がるどころか、作って食べてひと眠りまでできてしまいます。

    オススメ関連書籍はこちら
    『呼吸の極意』
    呼吸はヒトの健康にどのようにかかわっているのか? 息を吸って吐くための体のしくみから、科学の目で見た気功やヨーガの呼吸法まで、呼吸を深く探究します。

    11月24日 『種の起源』を出版(1859年)

    この日、イギリスの博物学者チャールズ・ダーウィンが、自然は有機的進化と自然淘汰(選択)の結果であるとする「進化論」をまとめた『種の起源』を出版しました。この本のなかでダーウィンは、「種は変化するが、自然淘汰と適応のために、ある特別な種しか残らない。そのことがまさに進化である」という進化論の基礎となる考え方を発表し、神が現在の生物をゼロから創造したという考え方を否定したのです。なお、この本の正式なタイトルは『On the Origin of Species by Means of Natural Selection, or the Preservation of Favoured Races in the Struggle for Life(自然淘汰による種の起源、すなわち生存闘争において有利である種族が保存されることについて)』というもの。このタイトルも長い年月の間にさまざまな略称で呼ばれてきましたが、簡便で使いやすいものが生き残り、現在では『種の起源』と呼ばれるようになりました。これも一種の進化ということでしょうか!?


    1859年に出版された『種の起源』のタイトルページ

     

    オススメ関連書籍はこちら
    『新・進化論が変わる』
    進化論と時を同じくして発表されたのが、メンデルの遺伝法則です。ゲノムからのアプローチが進んだ現在、ダーウィンの進化論はどう変わったのでしょうか。

    11月25日 アインシュタインが重力場の方程式を発表(1915年)

    この日、物理学者アルベルト・アインシュタインは、「重力場の方程式」と題する講演をプロイセン科学アカデミーで行い、いわゆるアインシュタイン方程式を発表しました。この日は、11月の毎週木曜日に開催されていた、一般相対性理論についての連続講義の最終回にあたり、「一般相対性理論」が完成した日ともいわれています。ここで発表された理論は、翌週には論文として出版され、さらに1919年5月には、日食観測によってその正しさが検証されることになります。この成果によって、アインシュタインは物理学界のみならず、世界的に名前が知られることになったわけですが、1921年に贈られたノーベル賞の授賞理由は「光電効果」の発見に対してでした。なぜ、アインシュタインは相対性理論でノーベル賞をとれなかったのか? その理由はいくつかあるそうですが、相対性理論のインパクトがあまりに強すぎて、物理学界でもまだ十分にその影響が把握できていなかった、ということもその理由の一つといわれています。アインシュタイン自身は、そのことへの反感からか、受賞講演において「光電効果」ではなく「相対性理論」について話したそうです。

    オススメ関連書籍はこちら
    『相対性理論の世界』
    1966年初版のブルーバックスを代表する超ロングセラー。おもしろく読めて、一般相対性理論がよくわかる。色褪せない名作をぜひ手にとってみてください。

    11月26日 世界初の潮力発電所が完成(1966年)

    この日、フランス北西部サン・マロ郊外に位置するランス川河口に、世界初の潮力発電所が完成しました。幅700メートルの河口をせき止めてつくられたダムに、海の干満差を利用して満潮時に水を溜め、干潮時に水を放出して水力発電機を回すというしくみです。河口での干満差は最大で13.5メートルもあり、最大出力は24万キロワット。フランス全体の電気消費量の0.12%がこの発電所でつくりだされています。完成の翌年、1967年から定常運転が開始され、半世紀経った現在でも現役で運転中です。

    オススメ関連書籍はこちら
    『分散型エネルギー入門』
    再生可能エネルギーと新エネルギーの発電技術を全網羅。水力、風力、太陽光、地熱、潮力、波力、海洋温度差、燃料電池など、新しいエネルギー技術の最前線を紹介します。

    11月27日 天文学者セルシウスが生まれる(1701年)

    この日、スウェーデンの天文学者アンデルス・セルシウスが誕生しました。セルシウスさんをご存じの方は少ないかと思いますが、「今日の気温は摂氏10度」などというときの「摂氏」とは、この「セルシウス氏」のことなのです。セルシウスは、オーロラが発生にともなって地磁気が変化することを発見するなど、地球科学の分野で活躍した研究者ですが、もっとも有名な業績が、1942年に発表した「セルシウス温度目盛り」です。発表時は、水の氷点を100度、沸点を0度としてその間を100等分するものでしたが、現在は100と0を入れ替えたものが使われています。なお、セルシウス温度(℃)に273.15を加えたものが、絶対温度ケルビン(K)です。

    オススメ関連書籍はこちら
    『熱とはなんだろう』
    熱と温度はどう違うのか? エントロピーとは? 肌で感じられるのに、実体がつかみにくい「熱」の概念をわかりやすく解説します。

新着情報一覧

ページTOPへ