【サイエンス 7days】 第44回 11月28日~12月4日

  • 2016/11/28

    • ニュース

    第44回 11月28日~12月4日
    人類初の原子炉が臨界に到達

    地球のみなさん、こんにちは。毎度おなじみ、ブルーバックスのシンボルキャラクターです。今週も "サイエンス7days" のコーナーをお届けします。

    "サイエンス7days" は、あの科学者が生まれた、あの現象が発見された、など科学に関する歴史的な出来事を紹介する「この日なんの日」のコーナーです。

    第44回は今日11月28日から12月4日までの一週間をみていきましょう。

    11月28日 パルサーの発見(1967年)

    この日、ケンブリッジ大学の大学院生だったジョスリン・ベル・バーネルと、その指導教官アントニー・ヒューイッシュは、宇宙空間から約1.3秒間隔で送られてくる奇妙な電波を発見しました。100億分の1秒の誤差もなく、1.3373011922秒ごとに送られてくるこの信号は、当時知られていたどんな天体でも説明がつかず、知的生命体からの信号かもしれないと考えたベルとヒューイッシュは、この電波源に「LGM-1」(Little Green Man、小さな緑の人)と名づけました。じつは、この謎の電波の正体は、高速で回転する中性子星から放射されたもので、このような天体は現在ではパルサーと呼ばれています。回転する灯台の光が、一定の間隔で周期的に届くのと同じ原理で、この中性子星も特定の方向に光を放射しながら1.3秒に一回という超高速回転していると考えられています。それまで想像上の天体でしかなかった中性子星という存在に、観測的な証拠を与えた重要な発見です。残念ながら、緑色の小さな宇宙人はまだ見つかっていませんが、青色の火星人はひそかに地球にやってきていたのでした。

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    11月29日 日本初の公衆用配電が開始(1887年)

    この日、東京電燈会社が、日本橋に開設した第二電燈局から、火力発電による直流200Vの配電を開始しました。送電先は、日本郵船会社、今村銀行、東京郵便など大口の需要家に限られていましたが、空中に張り渡した電線(架空配線)による電気供給のはじまりです。東京電燈が設立された当時は130灯ほどだった電灯も、配電開始からわずか5年後の1892年には1万灯を超えるまでに普及しました。急増する需要に対応するために、1896年には、交流電気の発電所が操業を開始します。このとき、東京電燈はドイツ・AEG社製の50Hzの発電機を採用し、関西では大阪電燈が60Hz仕様のアメリカ・GE社製発電機を採用したことが、現在までつづく東日本と西日本での周波数の違いの原因となっています。

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    11月30日 世界初の自動焦点カメラ発売(1977年)

    この日、「夢のカメラ」として開発競争が続いていた自動焦点(オートフォーカス、AF)カメラが、小西六写真工業(のちのコニカ)から発売されました。自動露出、ストロボ内蔵のカメラで、商品名は「ジャスピンコニカ」。販売価格は4万4800円と高価なものでしたが、ネーミングも当たり、年間で35万台を販売する爆発的なヒット商品となりました。小西六が特許を申請しなかったため、各カメラメーカーが競ってAFカメラを開発販売するようになり、カメラブームが巻き起こったそうです。先日、わたしは今年の年賀状のために家族写真を撮ってもらいました。1963年から増え続けたわたしの「家族」も来年で2000人を突破します。どんなふうに写っているのか出来上がったらみなさんにもお見せしますね。

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    12月1日 日本初の洋式高炉での銑鉄がつくられる(1857年)

    この日、盛岡の鉱物学者・冶金技術者の大島高任(おおしま・たかとう)が、盛岡藩大橋(釜石)に建設した日本初の洋式精錬高炉で、銑鉄の製造に成功しました。日本に鉄の精製法が伝わったのは6~7世紀ごろとされており、古代から「たたら製鉄」と呼ばれる製法が用いられてきましたが、幕末期、海防のために多くの大砲が必要となり、大量生産が可能な西洋由来の製鉄法が日本でも採り入れられるようになります。大島は1855年に水戸那珂湊に反射炉を製作したのに続いて、この釜石の高炉でも鉄の生成に成功したことから、近代製鉄の父と呼ばれています。高炉の登場によって鉄の生産量は飛躍的に向上しましたが、じつは品質の面では昔ながらの「たたら製鉄」に軍配があがります。強靭で切れ味が鋭い日本刀は、手間と時間をかけてつくりだされた純度の高い鉄なしには生まれなかったのです。

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    12月2日 人類初の核分裂連鎖反応実験(1942年)

    この日、物理学者エンリコ・フェルミは、シカゴ大学の実験原子炉「CP-1」において、人類で初めて、ひとつの核分裂反応が別の核分裂反応を引き起こして連鎖的に反応が続く臨界状態を作り出すことに成功しました。この原子炉の建設は、フットボール競技場の観客席下で極秘裏に進められており、合計40トンのウランと385トンの炭素からなるブロックを人力で一つずつ積み重ねて作られました。核分裂によって発生する中性子線を計測しながら、建設は慎重に進められ、すべてのブロックが積み上げられた翌日、12月2日の午前10時から、制御棒を少しずつ引き抜くことで実験が開始されました。午後3時25分、制御棒があるところまで引き抜かれると、中性子線の強度は計数管が振り切れるほどとなり、出力が急速に増大していく様子が確認されました。人類が初めて臨界状態を作り出した瞬間でした。この実験で到達した最大出力はわずか0.5ワットという小さなものでしたが、そこに集まった40名ほどの科学者は、この実験の重要さを認識しており、人類にとって革命的なことが成し遂げられたことを静かに祝ったそうです。


    実験原子炉「CP-1」のスケッチ(画像:U.S. Department of Energy)

     

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    12月3日 日本で太陽暦が採用される(1872年)

    日本で現在使用されている太陽暦が明治政府によって採用され、陰暦1872(明治5)年のこの日を1873年1月1日として、あたらしい暦がスタートしました。陰暦が月の満ち欠けを基準にしているのに対し、太陽暦は、天球上の太陽の運動を基準にして定められたものです。古代エジプトに始まり、ユリウス暦、グレゴリオ暦と改良され、現在ほとんどすべての国が太陽暦を使用しています。この改暦が政府から発表されたのは、施行のわずか23日前のことだったため、移行に際しては大変な混乱が生じたそうです。この強引な改暦の理由は、表向きは欧米の暦とのずれを解消することとされていますが、じつは、陰暦のままでは明治6年に閏月という13番目の月が生じることになっており、公務員の給料を月給制にしていた明治政府にとって太陽暦の方が都合がよかったためともいわれています。

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    12月4日 ジフテリアと破傷風の血清が発表される(1890年)

    この日、細菌学者の北里柴三郎とエミール・ベーリングが、ジフテリアと破傷風の血清療法を発見したことを発表しました。血清療法とは、ウマなどの動物に、わずかな量の病原体や毒素を注射して抗体をつくらせ、その抗体を含んだ血清を病気の治療に用いる方法です。北里は破傷風を、エミールはジフテリアをそれぞれ研究し、血清療法を生みだしました。エミールはこの業績によって第1回のノーベル生理学・医学賞を受賞しています。北里は残念ながらノーベル賞は受賞できませんでしたが、日本で最初の伝染病研究所を創設するなどして、公衆衛生の概念を広め医療の発展に貢献しました。 先週の25日、国立感染症研究所が、インフルエンザが全国的な流行期に入ったことを発表しました。予防接種を受けたり、手洗いうがいを心掛けたりして、健康に冬を乗り切りましょう。ちなみに、予防接種のワクチンも血清と同様に、抗体を利用したものですよ!

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