【サイエンス 7days】 第48回 12月26日~12月31日

  • 2016/12/26

    • ニュース

    第48回 12月26日~12月31日
    日本初の地下鉄が開通

    地球のみなさん、こんにちは。毎度おなじみ、ブルーバックスのシンボルキャラクターです。はやいもので、今年も残すところあと1週間となりました。仕事納めも近づき、世間はお休みモードになりつつありますが、科学にとって重要な出来事は今週もたくさん起こっています。

    それでは今週も、あの科学者が生まれた、あの現象が発見された、など科学に関する歴史的な出来事を紹介する"サイエンス7days"のコーナーをお届けします。

    第48回は今日12月26日から12月31日まで、今年を締めくくる一週間をみていきましょう。

    12月26日 ラジウムの発見(1898年)

    フランスの物理学者ピエールとマリのキュリー夫妻は、ピッチブレンドという鉱物のなかに、ポロニウムにつづく2番めの放射性元素が存在することを発見し、この日、フランス科学学士院で発表しました。この元素に与えられた「ラジウム」という名前は、ラテン語のradius(放射)にちなんだもので、放射能(radioactivity)という言葉もこの発見の際につくられたものです。キュリー夫妻は、1902年にはラジウムの単離に成功し、1903年にはこの一連の業績によって、ノーベル物理学賞を受賞しています。ラジウムが細胞に何らかの影響をおよぼすことは、その発見の初期から知られており、マリ・キュリーはこれをがんの治療に利用する研究にも取り組んでいました。残念ながら、彼女自身は白血病で亡くなってしまいますが、放射線によるがん治療は実用化され、実際に1950年ごろまでは放射線治療の線原としてラジウムが用いられていました。

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    『元素111の新知識 第2版増補版』
    元素解説の決定版。15万部超えの定番ロングセラーに、「112~118番元素」と「新元素の展望」を加えた増補版です。

    12月27日 フランスの細菌学者パスツールが生まれる(1822年)

    この日、近代医学の創始者の一人、細菌学者ルイ・パスツールが、フランスに生まれました。パスツールの業績は、立体異性体の発見から、ブドウ酒の発酵の仕組みの解明、炭疽病や狂牛病などのワクチンの発明、伝染病の原因の研究など、非常に幅広く、現在の化学・医学に多大な影響を残しています。また、生物は空気中のなんらかの要素から自然に発生するという「自然発生説」を、巧妙な実験によって否定したことでも有名です(下図参照)。空気さえあれば生き物が自然に発生するという発想は、現在からすると笑ってしまうような考えですが、17世紀には、ネズミのような大きな動物も、空気から発生すると思っている人がいたそうです。もしかしたら、いま私たちが持っている科学観のなかにも、数百年後の人々からみれば、まったく信じられないようなものがあるのかもしれませんね。

    白鳥の首フラスコ
    このフラスコに肉汁を入れて加熱し、フラスコ内の微生物を含んだ空気を蒸気ですべて追い出してしまうと、肉汁は腐敗しないことを示しました。これは、下側に湾曲した形状のフラスコの口を通過できるのは空気だけで、微生物は一番下がったところにトラップされてしまうためです。

     

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    『巨大ウイルスと第4のドメイン』
    発見当初、「新しい生命の形」というニックネームが与えられた巨大ウイルスとは!? 最先端のウイルス研究から「生物とは何か」をあらためて問い直す一冊です。

    12月28日 八木アンテナの特許出願(1925年)

    どこの家の屋根にもあった魚の骨のような形のあのアンテナが、実は日本人が発明したものだということをご存知でしたか? 実はこの発明、特許が取得された当初、日本ではほとんど注目されず、その存在が忘れられてしまったという歴史があるのです。この技術がふたたび日本の技術史に登場するのは、戦時中の1942年のことでした。シンガポールを陥落させた日本軍が、イギリスが残していったレーダー技術に関する資料のなかに、「Yagi」という謎の単語を発見したのです。いったいこの「Yagi」とは何か? 日本兵が捕虜に尋ねたところ、「本当にYagiを知らないのか。Yagiは日本人であり、アンテナの発明者ではないか」と驚かれたというのです。これを知った日本軍は、急遽八木アンテナを使ったレーダーの開発に取り組んだそうです。

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    『アンテナの仕組み』
    読めば明日から、屋根の上のアンテナが妙に愛おしくなる!? 現代社会を支える重要なツールのとてもシンプルな原理と、意外に複雑な働きをやさしく解説します。

    12月29日 上越線の清水トンネル貫通(1929年)

    この日、群馬県と新潟県の間の谷川連峰を貫く、清水トンネルが貫通しました。東京から新潟へ向かう鉄道の経路は、それまで長野県を迂回する信越線回りのルートで11時間もかかっていましたが、このトンネルの開通によって約4時間の時間短縮がはかられました。1922年に着工し、完成までに9年の歳月をかけた清水トンネルは、全長9702メートルにもおよび、北陸トンネルが1962年に開通するまで日本最長のトンネルでした。作家の川端康成は、このトンネルを通る列車で越後湯沢をたびたび訪れており、「国境の長いトンネルを抜けると雪国であった」という有名な『雪国』の冒頭は、清水トンネルがモデルともいわれています。ちなみに、現在の日本一長いトンネルは青森と北海道の函館をつなぐ青函トンネルで、全長は53.85キロメートルもあります。

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    『図解・鉄道の科学』
    電車が走る・曲がる・止まるホントの理由から、静かで揺れない電車を実現した意外なアイディアまで、鉄道のしくみをその根本原理から解き明かします。

    12月30日 日本初の地下鉄が開通(1927年)

    この日、東京の上野・浅草間に、現在の東京メトロ銀座線の一部となる日本初の地下鉄が完成しました。世界で14番目の地下鉄で、営業開始はこの日の午前6時だったそうです。一番電車には皇族が招待され、約2.2キロメートル、4分50秒の地下の旅を体験しました。なお、料金は10銭で、コインを入れて通る無人のターン式自動改札が採用され、電車のドアも自動開閉式のものでした。運行区間は、歩いても30分ほどしかかからないわずかな距離でしたが、乗車に1時間待ちの行列ができるほどの大盛況だったそうです。なお、世界で最も古い地下鉄は、1863年に敷設されたロンドンの鉄道です。

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    『図解・地下鉄の科学』
    都市の地下で進められるトンネル建設には土木技術の粋が集められ、車両や軌道にも工夫が凝らされています。上で紹介した『図解・鉄道の科学』とあわせてぜひご一読ください。

    12月31日 数学者のホワイトヘッドが生まれる(1861年)

    この日、記号論理学を完成させたことで知られる、数学者・哲学者アルフレッド・ノース・ホワイトヘッドが、イギリスに生まれました。1910年から1913年にかけて出版された、ラッセルとの共著『プリンキピア・マセマティカ(数学原理)』は、記号論理学に革命をもたらした名著で、論理学・哲学におけるもっとも重要な書目のひとつと考えられています。ここで確立された、論理学の数学的な記述方法が下敷きとなり、ゲーデルの不完全性定理の発見などにつながっていくことになります。論理学というと、高校数学で習った「逆」「裏」「対偶」など、ややこしい学問というイメージがありますが、パズルを考えるときにも役に立つことがあります。例えば次の問題、あなたは論理的に解けますか?

    3人の女神が次のように述べています。
     アテナ「もっとも美しいのはアフロディテではない」
     アフロディテ「もっとも美しいのはヘラではない」
     ヘラ「私がもっと美しい」
    もっとも美しい女神のみが真実を述べています。
    それは誰?
    (答えは下の関連書籍をご覧ください)

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    『論理パズル「出しっこ問題」』
    考える力を試される傑作中の傑作60題を収録。論理思考のトレーニングに最適な一冊です。

    重力波の検出や新元素ニホニウムの名称決定など、今年も科学の歴史にのこる出来事がいくつもあった一年でした。来年はどんな驚きの発見や、発明が登場するのか、とても楽しみです。それではみなさま、よいお年を!

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