【サイエンス 7days】 第32回 9月5日~9月11日

  • 2016/09/05

    • ニュース

    第32回 9月5日~9月11日
    木星の第5衛星が発見される

    地球のみなさん、こんにちは。毎度おなじみ、ブルーバックスのシンボルキャラクターです。今週も "サイエンス7days" のコーナーをお届けします。

    "サイエンス7days" は、あの科学者が生まれた、あの現象が発見された、など科学に関する歴史的な出来事を紹介する「この日なんの日」のコーナーです。

    第32回は今日9月5日から9月11日までの一週間をみていきましょう。

    9月5日 分子生物学者の利根川進博士が生まれる(1939年)

    日本人初のノーベル生理学・医学賞を受賞した利根川進博士が、この日、愛知県名古屋市に生まれました。利根川博士は京都大学理学部を卒業後、アメリカに渡って博士号を取得。スイスのバーゼル免疫学研究所で抗体に関する研究に取り組み、それまで不変であると考えられていた遺伝子DNAが、成長するに従って変化し、これによって多様な抗体がつくられることを発見しました。この業績によって1987年にノーベル賞を受けることになります。利根川博士はバーゼル免疫学研究所で10年間免疫を研究したのち、「何か別のことがしたい」という考えから、脳科学に転向されましたが、この分野でも「記憶」に関する研究などで大きな成果をあげられています。

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    『新しい免疫入門』
    無数の細胞が協力して病原体を撃退する、免疫システムの全貌を解説! ノーベル賞の授賞理由となった「抗体の多様性生成の遺伝的原理」を知るのに最適な一冊です。

    9月6日 マゼラン隊が初の世界一周を達成(1522年)

    1519年9月20日にスペインを出発したマゼランの船団が、この日、スペインのサンルーカル港に帰港。世界一周航海を実現し、地球が丸いことを実証しました。出航時には5隻の船に約270名が乗り込みましたが、新規ルート開拓中の難破や現地住民との交戦などにより徐々に船員を失い、無事に戻ってこられたのはビクトリア号の18名のみという過酷な旅でした。マゼラン自身もフィリピン諸島での交戦中に殺害され、帰国は果たせませんでしたが、この航海で初めて発見された、南アメリカ大陸南端のマゼラン海峡にその名を残しています。現在では船旅というと、優雅な豪華客船での旅を思い浮かべる方も多いと思いますが、船が安全なものと考えられるようになったのは、じつは最近のこと。危険と隣り合わせだった航海に革命をもたらしたのは、19世紀にある青年が開発した、まったく新しいレンズでした。

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    『灯台の光はなぜ遠くまで届くのか 時代を変えたフレネルレンズの軌跡』
    海難事故を防ぐためには、暗い海を明るく照らす灯台が必要です。小さな光を効率よく、より遠くまで届けるにはどうすればいいか。オタクで内気だった青年が、信念を貫いて築きあげた19世紀の偉大な業績に迫ります。

    9月7日 フランスの博物学者ビュフォンが生まれる(1707年)

    パリの王立植物園長などを勤めた博物学者ビュフォンが、この日、フランス東部のモンバールに生まれました。ビュフォンは18世紀の自然学を、36巻におよぶ大著『博物誌』としてまとめたことで知られています。このなかで彼は、「類人猿は人間の未発達の状態、あるいは退化したもの」という進化論的な考え方を述べたり、鉄の冷却率から考えて地球の年齢は『聖書』に書かれているよりもはるかに長くなると見積もるなど、現代の科学につながる考え方を提示しています。また、ビュフォンは数学者としてしても活躍しており、次のような有名な問いを残しています。

    「多数の平行線を引き、そこに針を落としたとき、どれかの線と針が交差する確率はいくつか」

    みなさんはこの問題の答えがわかりますか?

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    「ビュフォンの針」問題など、興味深い数学のトピックスが満載! 専門家でも間違う「思い込みの罠」を紹介しながら、論理的に考えるための思考法を伝授します。

    9月8日 日本初の衛星写真を受信(1977年)

    この日、日本初の静止気象衛星「ひまわり1号」が試験観測を行い、高度3万6000キロメートルから台風9号の画像を気象台に送信しました。この衛星は7月14日にアメリカのケープ・カナベラルから打ち上げられたもので、西・南太平洋の気象状況を監視することを目的としていました。現在も後継機「ひまわり8号」が活躍しており、今年の11月1日には「ひまわり9号」も打ち上げられる予定です。8号、9号の2機による観測体制が整えば観測性能は格段に上がり、天気予報の精度も向上するそうですので、期待して打ち上げの成功を祈りましょう。


    「ひまわり」による日本初の衛星写真。画像の中央左上に渦を巻いた台風9号が確認できます。

    (出典:気象衛星センターホームページ)

     

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    『図解・気象学入門』
    気象にまつわる、さまざまな情報をコンパクトに収録。気象衛星はなにを観測しているのか、データはどのように利用されているのか。詳しく知りたい方はぜひご一読ください。

    9月9日 木星の第5衛星が発見される(1892年)

    この日、アメリカの天文学者エドワード・エマーソン・バーナードが、木星の5番目の衛星「アマルテア」を発見しました。1610年にガリレオ・ガリレイが発見した4つの衛星(イオ、エウロパ、ガニメデ、カリスト)以降で初めて発見された衛星で、肉眼で発見された最後の衛星でもあります。その後、天体写真を用いた観測によって、1999年までに合計12個の衛星が木星のまわりを回っていることが発見されました。さらに、2000年代に入ると、日本のすばる望遠鏡などの大型望遠鏡を使った観測が行われ、現在では木星には衛星が67個もあることがわかっています。わたしが地球にやってきたころのブルーバックスには、「木星の衛星は12個」などと書かれていたのですが、こんなに増えていたとは驚きです。

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    『4次元デジタル宇宙紀行Mitaka』
    自宅のパソコンで簡単宇宙旅行! 発見された木星の衛星のうち63番目までのデータが収録されています。

    9月10日 日本初の狂牛病を確認(2001年)

    この日、農水省が、千葉県白井市の酪農場の乳牛1頭が狂牛病(BSE:牛海綿状脳症)であると発表しました。8月6日から狂牛病の疑いがもたれており、最初の検査結果は陰性でしたが、9月6日に再検査が行われ10日に陽性と判明したものです。この病気は、牛の脳組織がスポンジ状に変化し、全身が麻痺して死に至るもので、脳や脊髄を用いた飼料を食べることで感染すると考えられています。日本では、2009年までの間に36頭の感染牛が発見されましたが、飼料の制限などの対策により、2003年以降に生まれた牛からはBSEは確認されていません。

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    『プリオン説はほんとうか?』
    狂牛病の原因は「プリオン」という感染性のタンパク粒子とされています。しかし、プリオン説はいまだに不完全な仮説であり、説明できない不可解な実験データも数多いとのこと。『生物と無生物のあいだ』の福岡伸一さんによる必読の一冊です。

    9月11日 日本初の自動公衆電話機が設置される(1900年)

    この日、東京の上野駅と新橋駅に、硬貨を投入すると通話ができる公衆電話が5台設置されました。この電話機は、投入された硬貨の種類に応じて異なる音が鳴るしくみになっており、電話を掛けたいときには、まず最初に交換手を呼び出し、つづいて必要な料金を投入します。交換手は音を聞いて硬化の投入を確認し、手動で通話先に接続するというものでした。「自働電話」と呼ばれていたわりには、あまり自動化されていなかったみたいですね。料金は5分の通話で15銭(郵便はがき一通の10倍の値段)、さらに、交換手がミスをすれば、再度硬貨を入れなければならなかったため、使用する人は少なかったようです。ちなみにこの翌月には京橋に電話ボックスが設置され、さらに3年後の1903年には交換手の必要ない自動交換方式の公衆電話が登場しました。

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    『シャノンの情報理論入門』
    昔ながらの固定電話と最近の携帯電話、じつは音声を電気信号に変換する仕組みがまったく異なっていることをご存じでしたか? 現代の情報通信の基礎となる「デジタル化」の概念をわかりやすく解説します。

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