【サイエンス 7days】 第90回 10月16日~10月22日

  • 2017/10/16

    • ニュース

    第90回 10月16日~10月22日
    アジアで初のノーベル化学賞が決定

    地球のみなさん、こんにちは。毎度おなじみ、ブルーバックスのシンボルキャラクターです。今週も "サイエンス7days" のコーナーをお届けします。

    "サイエンス7days" は、あの科学者が生まれた、あの現象が発見された、など科学に関する歴史的な出来事を紹介する「この日なんの日」のコーナーです。

    第90回は今日10月16日から10月22日までの一週間をみていきましょう。

    10月16日 エーテル麻酔による初の公開手術が成功(1846年)

    アメリカの歯科医W.T.G.モートン(1819~1868)らが、1844年に化学者C.T.ジャクソンのすすめでエチルエーテル使用の麻酔作用の実験を行い、無痛抜歯に成功。その後も準備を重ね、1846年にJ.C.ウォーレンが執刀する下顎腫瘍摘出の公開外科手術において、モートンが初のエーテル吸入の全身麻酔を行い、成功しました。それを機に、エーテルだけでなく、笑気、クロロホルムなどによる麻酔が広まります。さらに麻酔薬の開発、気管内挿管による人工呼吸術の進歩もあって、麻酔下の手術は急速に発達していくことになります。開発の途中には失敗して患者に大きな痛みを与えた例もあり、多くの犠牲の上での恩恵でもあることに、感謝しなくてはなりませんね。

    アメリカの歯科医、W.T.G.モートン

     

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    『麻酔の科学 第2版』
    全身麻酔下の手術では、意識を失った状態で、呼吸・心拍など、身体の根本機能を長時間、他人にまかせることになります。全身麻酔の安全が確立されるまでの試行錯誤の歴史から、最新の麻酔薬、装置、施術法まで、手術を支える麻酔と麻酔科医のすべてを解説します。

    10月17日 医学者の前野良沢(1723~1803)没

    古医方を学び、豊前中津藩医となった前野良沢は、蘭学を志し青木昆陽(1968~1769)に師事します。さらに1769年には長崎に行き、通事から蘭学を学び、西洋の解剖書『ターヘル・アナトミア』を手に入れて江戸へ戻ります。その後まもなくして、小塚原での死刑囚の腑分けを見学する機会を得た良沢は、持っていった『ターヘル・アナトミア』の図の正確さに驚き、翻訳を志すことになるのです。3年5ヵ月かけて、杉田玄白(1733~1817)らと『解体新書』の翻訳を完成。しかし、訳に満足できない部分があり、不完全だとして自分の名前を出すことを辞退しました。81歳でこの世を去るまで、オランダ語研究への熱意を持ち続けたと言われています。

    『解体新書』

     

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    『カラー図解 新しい人体の教科書 上・下』
    分子生物学、解剖学、生理学など必須知識を網羅し、人体の構造と機能を徹底的にわかりやすく解説。圧倒的な迫力のメディカルイラストを惜しみなく使ったハンディサイズの、画期的な「教科書」です。

    10月18日 統計の日

    この日は、1870年に日本で最初の近代的生産統計「府県物産表」に関する太政官布告が公布されたことから、「統計の日」とされています。国民が統計の重要性に対する関心と理解を深め、統計調査への協力が広まるよう、1973年7月3日の閣議了解によって定められました。総務省をはじめとする各府省や地方公共団体では、この「統計の日」に合わせて、ポスターの作成・掲示などを通じた広報活動を行うほか、講演会・展示会の開催、統計功労者の表彰などの行事を実施しています。ちなみに「世界統計の日」は10月20日。また世界各国ごとに、それぞれ「統計の日」が定められています。

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    『結果から原因を推理する 「超」入門 ベイズ統計』
    近年注目を集める新しい統計学「ベイズ統計」。“原因の確率を結果から予測する”、それがベイズ統計のポイントです。この本では、ミステリー仕立ての愉快なストーリーを読みながら、「ベイズの定理」を中心に学んでいきます。

    10月19日 福井謙一(1918~1998)にノーベル化学賞(1981年)

    1952年から京大教授(当時)の福井謙一は、量子力学を化学に適用し、有機化学反応に関与する電子のふるまいを解明した、「フロンティア電子理論」を発表しました。1964年には「軌道対称性と選択則」、1970年には「反応経路解析」を発表し、分子工学を提唱。1981年、「フロンティア電子理論」の業績により、アメリカのR.ホフマンとともにノーベル化学賞(アジアでは初)を受賞。その理論によって、それまで経験的に知られていた有機化学反応を理由づけして体系化した、化学界には画期的なできごとだったそうです。

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    『大人のための高校化学復習帳』
    電池に電気が蓄えられるのはなぜ? 使い捨てカイロはなぜ熱くなるの? そんな日常の不思議が、高校化学で理解できてしまうのです。大人だからこそ知っておきたい高校化学のエッセンスを、身近な現象を切り口に解説します。学び直しに最適化した知的実用書。

    10月20日 疼痛ゼロの日

    「とう(10)つう(2)ゼロ(0)」の語呂合せで、疼痛治療に関する情報提供を行う医療従事者で構成される団体、JPAP(Japan Partners Against Pain)が制定しました。疼痛治療に対する正しい理解促進のための活動が行われる日となっています。主にがん患者の痛みに向き合い、すべての患者が十分な緩和ケアを受けられるようになることを目指しています。しかし、欧米に比べると、日本では、緩和ケアの面ではやや遅れをとっているのが実情のようです。痛みを取り除くことで免疫力が強まり、がん治療の手助けをしてくれる可能性もあるという緩和ケアの進展が望まれます。 

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    『痛覚のふしぎ』
    日常生活のさまざまな場面で体験する「痛み」。痛みは、生きていくうえでの防御機能のため、警告の役割もしています。私たちが受ける刺激は、皮膚下の侵害受容器を活性化させ、感覚神経を通って脊髄に伝わり、大脳で痛みとして認識されます。体内で起きている「痛み」のメカニズムを解説。

    10月21日 遺伝学者の木原均(1893~1986)生まれる

    この日、京大教授などを経て木原生物研究所長、国立遺伝学研究所長などを務めた木原均が、東京に生まれました。イネ科植物、特にコムギの細胞遺伝学的研究で世界的に有名となり、1948年には、第2次世界大戦後に海外渡航を許された最初の日本人科学者として、ストックホルム国際遺伝学会で特別講演を行いました。ゲノム分析法の確立、祖先型の発見、種無しスイカの成功などの業績をあげた木原は、「地球の歴史は地層に、生物の歴史は染色体に記されてある」という言葉を残しました。

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    『DNAの98%は謎』
    「非コードDNA」と呼ばれ、意味のない無駄なものと長らく考えられてきたものが、じつは生命の不思議に迫る重要な役割を担っていることが近年になってわかってきました。サルとヒトの違いを生み出し、老化と寿命に関わり、進化の原動力ともなる「非コードDNA」の仕組み、そして驚きの発見の数々をエピソード豊富に紹介します。

    10月22日 オーロラの南極と北極同時出現を画像で確認(2001年)

    米航空宇宙局(NASA)が、衛星「ポーラー」を打ち上げたのは、1996年。極の磁気圏および地球磁気圏尾部のプラズマの観測、電離層のプラズマの入出流の観測、大気圏上層と電離層における粒子エネルギーの蓄積の観測などを行いました。そして、地球の両極をおおう大規模なオーロラの多波長画像の撮影に成功したのが2001年のこの日。太陽活動が激しくなったという好条件にも恵まれ、特殊な装置での初の画像化ができたのです。以後2008年まで、この観測は続けられました。私も火星に戻るときにでも、オーロラを見てみたいものです。

    南極と北極で同時にオーロラを観測

     

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    『太陽と地球のふしぎな関係』
    「生命の誕生」を可能にし、生きとし生けるものすべてに恵を与える──そんな太陽のイメージは間違いかもしれません。コロナ質量放出、磁気嵐、高エネルギー粒子線といった、絶え間なく繰り出される太陽の攻め手。太陽が地球へ及ぼすあらゆる現象に迫ります。

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