【サイエンス 7days】 第70回 5月29日~6月4日

  • 2017/05/29

    • ニュース

    第70回 5月29日~6月4日
    東京天文台の設立

    地球のみなさん、こんにちは。毎度おなじみ、ブルーバックスのシンボルキャラクターです。今週も "サイエンス7days" のコーナーをお届けします。

    "サイエンス7days" は、あの科学者が生まれた、あの現象が発見された、など科学に関する歴史的な出来事を紹介する「この日なんの日」のコーナーです。

    第70回は今日5月29日から6月4日までの一週間をみていきましょう。

    5月29日 エベレスト初登頂(1953年)

    この日、英国の登山隊に参加した、ニュージーランド人の登山家エドモンド・ヒラリーとチベット人のシェルパ(登山案内人)テンジン・ノルゲイが、世界最高峰エベレストの登頂に初めて成功しました。エベレストは、1850年代にその標高が世界一であることが確認されて以降、多数の登山家がその頂に立つことを夢見てきましたが、2人の登山家によって永年の宿願が果たされることとなりました。ちなみに、それまでの挑戦で命を落とした人の数は13名にものぼります。標高約8850メートルの頂上に到達した彼らは、ネパール・インド・英国・国連の一つなぎの国旗を振る姿を撮影したのち、ヒラリーは十字架を安置し、テンジンはチョコレートなどの供物を雪に埋めたそうです。滞在時間はわずか15分でした。1週間ほど前(2017年5月22日)、頂上付近の難所である「ヒラリー・ステップ」の崩壊がニュースで話題になっていましたが、この名称はもちろんエドモンド・ヒラリーにちなんだものです。

    エベレスト登頂を達成したヒラリー(左)とノルゲイ(右)

     

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    『山はどうしてできるのか』
    「山にどうしてのぼるのか」と聞かれれば、多くの人が「そこに山があるからだ」という答えを思い浮かべるのではないでしょうか。では、「山はどうしてできるのか」と聞かれたらあなたならどう回答しますか? その答えは本書にあります。

    5月30日 物理学者のアルヴェーンが生まれる(1908年)

    この日、電磁流体力学の基礎研究とそのプラズマ物理学への応用によってノーベル物理学賞を受賞した、地球物理学者のハンス・アルヴェーンが、スウェーデンに生まれました。地元のウプサラ大学で物理学を学び、その後、ノーベル物理学研究所や、王立工科大学で研究を続けたアルヴェーンは、磁場中を流れるプラズマの中を磁場の横波が伝播することを発見し、体系的な電磁流体力学の基礎を築きました。この横波は、現在では「アルヴェーン波」と呼ばれています。ほかにも、磁気中の荷電粒子の運動に関する研究では、太陽活動に伴う磁気嵐を発見し、太陽黒点についてもさまざまな研究成果を挙げました。

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    『太陽と地球のふしぎな関係』
    コロナ質量放出、磁気嵐、高エネルギー粒子線、……。絶え間なく繰り出される太陽の攻め手を、地球はどうしのいでいるのか? 絶対君主「太陽」と無力なしもべ「地球」の関係に迫ります。

    5月31日 世界禁煙デー

    世界保健機関(WHO)は1987年に、初めてタバコ対策に関する総会決議を行い、5月31日を「世界禁煙デー(WORLD NO TABACCO DAY)」と制定しました。喫煙が健康におよぼす影響については、さまざまな研究が行われてきましたが、喫煙者の、がん、心臓病、脳卒中などの特定の疾病の罹患率や死亡率等が高いこと、またこれらの疾病の原因と関連があることが指摘されています。今年は5月31日~6月6日の1週間が禁煙週間とされ、「2020年、受動喫煙のない社会を目指して~たばこの煙から子ども達をまもろう~」をテーマに、さまざま啓発活動が行われます。

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    『基準値のからくり』
    喫煙や飲酒は20歳からと法律で定められています。でも、この"20歳"の根拠を答えられますか? さまざまな基準値はなぜその値なのか、科学的な理由はあるのか。4人の基準値オタクが斬り込みます!

    6月1日 八幡製鉄所建設を開始(1897年)

    この日、鉄鉱石から鉄を取り出し最終的な製品を作るところまでを行う、日本初の一貫製鉄所である八幡製鉄所の建設が福岡県の八幡村(現北九州市八幡東区)で始まりました。日清戦争をきっかけとして、軍備増強および産業資材のために鋼鉄の需要が高まったことから計画されたもので、建設は前年の帝国議会で決定されています。操業開始は1901年2月5日、初めは官営の製鉄所でしたが、1934年に日本製鉄所属となり、戦後には八幡製鉄・富士製鉄など4社へ分割、さらに企業合併などを経て現在は新日鐵住金の製鉄所となっています。

    1900年に撮影された八幡製鉄所の様子

     

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    『人はどのように鉄を作ってきたか』
    4000年前、アナトリアで発明された鉄ほど人類の社会と文明に影響を与えた物質はありません。温度計もない時代に、どのように鉄を作ったのか? 世界最古の製鉄法から現代の製鉄法、さらに日本固有の「たたら製鉄」も紹介しながら、鉄作りの秘密に迫ります。

    6月2日 欧州宇宙機関が初の惑星探査機打ち上げ(2003年)

    この日、欧州宇宙機関(ESA)が、火星探査機「マーズ・エクスプレス」を、カザフスタンのバイコヌール宇宙基地から打ち上げました。この探査では、火星の人工衛星となって軌道上から調査を行う「マーズ・エクスプレス・オービター」と、着陸船「ビーグル2」によって直接地表を調査する2つのミッションが計画されていました。本体は打ち上げから6ヵ月後の12月25日に、無事軌道へと投入され、10年以上たった現在まで火星の観測を続けています。一方、着陸船の「ビーグル2」は、地表への降下中に通信が途絶えてしまいました。ESAはあらゆる方法で復帰を試みたそうですが、2004年2月11日に計画の失敗を発表しています。しかし、それから11年後の2015年1月、NASAの火星探査機「マーズ・リコネッサンス・オービター」が撮影した火星の高解像度画像から、「ビーグル2」の姿が発見されたのです。それによれば、ビーグル2は無傷で地表に着陸しており、太陽電池パネルさえ開けば通信が可能であったことが確かめられました。じつに惜しい! 火星に残っている私の友達に、ちょっとパネルを開いてくれるようお願いしてもいいのですが、やはりそこは人類が自力でがんばってほしいと期待しています。

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    『完全図解・宇宙手帳』
    ロケット開発から有人宇宙飛行、人工衛星、月・惑星探査、宇宙ステーションまで、半世紀におよぶ世界の宇宙開発・活動の記録を余すところなく収録! 知りたいことがこれ1冊ですべてが分かる、決定版データブックです。

    6月3日 雲仙・普賢岳で大規模火砕流が発生(1991年)

    1990年11月17日、島原半島の雲仙岳主峰の普賢岳(標高1359メートル)が、198年ぶりに噴火しました。翌1991年のこの日、火砕流が発生し、報道関係者、消防・警察官、地元住民、火山学者など死者40名、行方不明3名を出す惨事となりました。火砕流とは、「高温のマグマの細かい破片が気体と混合して流れ下る現象」のことで、温度にして数百度以上、流れ落ちる速さは時速100キロメートルを超えることもあります。古代ローマの都市ポンペイを一瞬で壊滅させた例など、古くからその記録は残されていますが、鮮明な映像として記録されたのは初めてのことでした。多数の被害者が発生した原因は、火砕流という現象への理解が不十分であったことがまずあげられます。この事故を、以後の教訓として記憶するために、火砕流で破壊された小学校が当時の姿のまま保存され、雲仙岳災害記念館にも多数の資料が展示されています。

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    『Q&A 火山噴火 127の疑問』
    噴火予知は可能なのか、御嶽山、箱根山、桜島はこれからどうなるのか、世界の火山の総数は、有珠山、三宅島、雲仙普賢岳はだいじょうぶか、富士山が噴火したときの災害規模は――火山にまつわるさまざまな疑問に火山学者が真摯に回答します!

    6月4日 東京天文台の設立(1888年)

    この日、現在の国立天文台の前身となる東京天文台が東京・麻布に設立されました。もともとは内務省と海軍省の業務である、測量や暦の計算に関連する活動を行う機関でしたが、その後、天体物理学の研究のための施設として発展していくことになります。天文台の周辺が都市として発展し、夜間の観測に支障が出るようになったため、1924年に現在の所在地である東京都三鷹市大沢に移転しています。1988年には、国内の他の観測所などと統合された国立天文台が発足し、さらに文部省、文部科学省の管轄を経て2004年から自然科学研究機構国立天文台となりました。日本国内の観測所に加え、ハワイの「すばる望遠鏡」や、チリの「アルマ望遠鏡」など、海外の施設も運営しながら日本の天文学の研究拠点として活躍しています。

    三鷹の国立天文台にある屈折望遠鏡(©国立天文台)

     

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    『新・天文学事典』
    これ一冊で天文学の全体が見渡せる。太陽、星、銀河、ブラックホールから暗黒物質、暗黒エネルギーまで、第一線の研究者が解説した最先端の天文学・宇宙論の入門書です。

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