【サイエンス 7days】 第72回 6月12日~6月18日

  • 2017/06/12

    • ニュース

    第72回 6月12日~6月18日
    世界初の国際自動車レース

    地球のみなさん、こんにちは。毎度おなじみ、ブルーバックスのシンボルキャラクターです。今週も "サイエンス7days" のコーナーをお届けします。

    "サイエンス7days" は、あの科学者が生まれた、あの現象が発見された、など科学に関する歴史的な出来事を紹介する「この日なんの日」のコーナーです。

    第72回は今日6月12日から6月18日までの一週間をみていきましょう。

    6月12日 ベクレルが放射能について発表(1901年)

    この日、フランスの物理学者アンリ・ベクレルが、パリの科学アカデミーにおいて、放射性物質の発光・透過・電離の性質(放射能)について発表しました。ベクレルは放射線の発見者として知られていますが、実験に使うために保管されていたウラン鉱石が、たまたま一緒にしまってあった写真乾板を感光させたことがきっかけだったそうです。この発見により、ベクレルは1903年にノーベル賞を受賞し、また、放射性物質が1秒間当たりに崩壊する個数の単位「ベクレル(記号:Bq)」にも名前を残しています。

    ウランの放射線によって感光された写真乾板

     

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    『放射能と人体』
    「100ミリシーベルト以下の被曝は心配ない」は本当なのか? 原爆や原発事故、劣化ウラン弾による被曝調査をもとに放射線の生体への影響を検証します。

    6月13日 物理学者マクスウェルが生まれる(1931年)

    電磁気学を完成させた理論物理学者ジェームズ・クラーク・マクスウェルが、この日、イギリス・スコットランドの首都エディンバラに生まれました。マクスウェルは、若いころから数学に才能を発揮し、ケンブリッジ大学を卒業後、ロンドン大学の教授やキャベンディッシュ研究所の所長などを歴任した、19世紀を代表する物理学者です。1864年に発表した「マクスウェル方程式」は、ファラデーの電磁気の学説を数式化したもので、これによって古典電磁気学の基礎が確立されました。この式から、電磁波の存在が予言され、また、アインシュタインが特殊相対性理論を思いついたのもこの方程式があったからと言われています。熱力学の分野においても数々の業績を残しており、「マクスウェルの悪魔」の思考実験は一般にもよく知られています。

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    『新装版 マックスウェルの悪魔』
    タイムマシンを実現させて過去をよみがえらせ、永久機関を動かしてみせる。この不可思議な悪魔に目をつけながら、時間の向きを決めているという「エントロピー」を、他に類を見ない面白さとわかりやすさで解説する、ブルーバックスの記念碑的名作です。

    6月14日 世界初の国際自動車レース(1900年)

    この日、アメリカ、フランス、ドイツ、ベルギーから計7台が出場した、初めての国際自動車レース「ゴードン・ベネット・カップ」が開催されました。レースはフランスのパリ‐リヨン間の568キロメートルで競われ、フェルナン・シャロンが運転するフランスのパナール社の車が優勝。平均速度は時速約62キロメートルでした。今年の4月、同じくフランスのトゥールーズで、世界初の国際ナノカーレースが開催されました。分子によって作られた1ナノメートル(10億分の1メートル)サイズのレーシングカーが、制限時間内にどれだけの距離を走ることができるかを競う耐久レースで、オーストリア、アメリカ、スイス、ドイツ、フランス、そして日本から6台のナノカーが出場しました。目にも見えない小さなコースで行われた国際大会は、29時間かけて1000ナノメールを走り抜いた、オーストリア‐アメリカチームの優勝で幕を下ろしました。ちなみに優勝した車の平均速度は、時速約3000億分の1キロメートルです。

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    『新しい物性物理』
    量子論、相対論の融合から始まった物性物理学によって、身の回りに存在するあらゆる物質の本質が明らかにされてきました。半導体、液晶、超伝導などの新物質を創り出し、ナノテクノロジー、極限の世界を切り開く物性物理学の最前線に迫ります。

    6月15日 KS磁石鋼の特許出願(1917年)

    この日、東北帝国大学の本多光太郎と高木弘らが開発した、強い磁性をもつ特殊鋼「KS磁石鋼」の特許が出願されました。KSとは、開発研究費を出資した商人の住友吉左衛門のイニシャルから取ったものです。KS磁石鋼は、当時世界最強の永久磁石として注目され、その後の磁性材料の開発や、(磁力の)測定技術の研究、ひいては日本の工業技術の発展に貢献したと言われています。成分は、コバルトが35%、クロムが3~6%、タングステンが5~6%、炭素が0.9%、残りが鉄でできています。ちなみに、現在の最強の磁石は「ネオジウム磁石」で、こちらも日本人の佐川眞人らによって開発されたものです。

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    『極限の科学』
    人類はどこまで強い磁場を作り出せるのか? ニコラテスラの電磁石から、一瞬の超強磁場を実現するために装置を爆薬で破壊するとんでもない実験まで。常識をくつがえす極限の世界に迫ります。

    6月16日 新潟地震が発生(1964年)

    この日、新潟県の粟島南方沖を震源とする、マグニチュードM7.5の地震が発生し、死者26人、全壊家屋1960戸という大きな被害がもたらされました。震源に近い粟島では島全体が1メートルも隆起し、日本海海岸では逆に5~20センチメートルも沈降したことが確認されています。この地震では、地下水で飽和したゆるい砂地盤が「液状化現象」を起こしたことによる被害が目立ちました。液状化現象とは、堆積物の粒子の間が水で満たされ、固まっていない地層が、地震などの振動で急激に流動する現象です。この地震をきっかけに、埋立地や高層建築では、粒度がそろわないよう砂に泥や礫(れき)を混ぜる、固化剤を注入する、長い鉄筋を入れるなどして、液状化を防ぐための対策が取られるようになりました。

    新潟地震の液状化現象によって倒壊した集合住宅

     

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    『活断層地震はどこまで予測できるか』
    地震とは、地殻内にたまった歪みが断層を通じて一瞬のうちに解放される現象です。熊本、鳥取、福島沖──なぜ、大地震が頻発するのか? 活断層とは何か? 直下型地震はどうして起きるのか? 今知りたい疑問に答えます。

    6月17日 さそり座のX線で輝く星を発見(1962年)

    この日、東京天文台岡山観測所が、さそり座にあるX線で輝く星を特定することに成功しました。この天体は、1962年にアメリカが打ち上げたX線観測ロケット「エアロビー」によって発見されたもので、さそり座の方向にあるX線源ということで、「さそり座X-1」と名づけられていました。岡山観測所は、口径188センチメートルの巨大天体望遠鏡を使って、このX線の放射源である星を特定しました。この星は中性子星とよばれる特殊な天体で、太陽と同じくらいの重さでありながら、半径は10キロメートルほどしかない、非常にコンパクトで密度の高い恒星です。表面温度も100万℃以上(太陽は6000℃程度)あり、X線では太陽よりも明るく輝いて見えるそうです。

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    『巨大ブラックホールの謎』
    レントゲンや結晶解析など、さまざまな分野で用いられるX線ですが、じつは、ブラックホールの探査にも利用されています。太陽の100万倍の重さを持つ、巨大ブラックホールの驚愕の姿に、最新望遠鏡が迫ります。

    6月18日 動物学者のモースが生まれる(1833年)

    進化論を日本に紹介した動物学者、エドワード・シルヴェスター・モースが、この日、アメリカ西海岸の都市ポートランドに生まれました。モースは、1877年に腕足類の採集のために来日、翌年再び来日し、東大初代動物学教授として、日本の近代的動物学の育成に尽力したほか、進化論の紹介や教育研究施設の充実にも尽力したそうです。1度目の来日の際に、船で到着した横浜から東京に向かう列車の窓から、大森付近で白っぽい丘を見かけ、後日、その場所を訪れ、それが縄文時代の貝塚であることを発見しました。これは日本で初めての科学的な発掘調査で、日本の考古学の出発点と言われています。

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