【サイエンス 7days】 第83回 8月28日~9月3日

  • 2017/08/28

    • ニュース

    第83回 8月28日~9月3日
    H-2Aロケット1号機の打ち上げ

    地球のみなさん、こんにちは。毎度おなじみ、ブルーバックスのシンボルキャラクターです。今週も "サイエンス7days" のコーナーをお届けします。

    "サイエンス7days" は、あの科学者が生まれた、あの現象が発見された、など科学に関する歴史的な出来事を紹介する「この日なんの日」のコーナーです。

    第83回は今日8月28日から9月3日までの一週間をみていきましょう。

    8月28日 土星の衛星エンケラドゥスの発見(1789年)

    この日、土星で6番目に大きい衛星エンケラドゥスが、天文学者のハーシェルによって発見されました。エンケラドゥスは直径が500キロメートルほどで、地球の月の7分の1ほどしかない比較的小さな衛星です。ハーシェルの発見以来、最近までその素性は未知のままでしたが、現在は太陽系でもっとも注目されている惑星のひとつになっています。そのきっかけは、2005年に、NASAの土星探査機カッシーニが撮影した、エンケラドゥス表面のひび割れの画像でした。このひび割れは、衛星の表面で活発な地質活動があることを示唆しており、地下に液体の水が存在している可能性が浮上したのです。カッシーニによる観測はその後も続けられ、現在では、表面の氷の下に、惑星全体を覆うような海が広がっていることが明らかにされています。そして、そこには生命が存在するかもしれないというのです。人間が地球外生命体に出会う日がもうすぐやってくるのかもしれません!

    カッシーニが撮影したエンケラドゥスの地表(画像提供:NASA)

     

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    『地球外生命9の論点』
    地球の外にも生命は存在するのか? 科学ではタブーとされてきたこの問いは、21世紀に入ってからの相次ぐ新発見により、いまや科学者が真剣に取り組むテーマとなっています。宇宙に「地球」はたくさんあるとする天文学者、「生命」は地球だけの奇跡だという生物学者、各分野のトップランナーが最新成果をもとに地球外生命を考える「論点」を呈示します。

    8月29日 H-2Aロケット試作機1号機の打ち上げ(2001年)

    この日、宇宙開発事業団 NASDA(現在の宇宙研究開発機構 JAXA)が、国産「H-2Aロケット」の最初の試作機を、種子島宇宙センターから打ち上げました。H-2Aロケットは衛星打ち上げ用の液体燃料ロケットで、高さは53メートル、重さは約300トンです。初めての純国産ロケットとして開発された「H2ロケット」が1998年(5号機)、1999年(8号機)と2度続けて打ち上げに失敗しており、その後継である「H-2A」について不安視する声もありましたが、性能確認用の衛星を、無事に軌道に投入してみせました。H-2Aは、現在も日本の主力大型ロケットであり、先日の準天頂衛星「みちびき3号機」の打ち上げに使われたのは「35号機」になります。また、後継となる「H3ロケット」の開発も進められており、試作機の打ち上げは2020年を予定しているそうです。

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    『完全図解・宇宙手帳』
    1957年に打ち上げられた世界初の人工衛星「スプートニク1号」から始まる半世紀におよぶ人類の宇宙への挑戦。その歩みを網羅するとともに、豊富な図解で宇宙開発の技術と基礎知識を解説した決定版データ集です。

    8月30日 物理学者のラザフォードが生まれる(1871年)

    原子核の発見で知られるイギリスの物理学者アーネスト・ラザフォードが、この日、当時イギリスの植民地であったニュージーランドに生まれました。ニュージーランド大学カンタベリー・カレッジ(現在のカンタベリー大学)で地質学と物理学を学んだラザフォードは、1895年に、研究奨学生としてケンブリッジ大学へと移り、トムソンの下で研究を始めました。1898年には、ウランからα線とβ線の二種類の放射線が出ていることを発見し、これをもとに、元素が放射線を出しながら別の元素へと変わる「元素崩壊」や「半減期」といった概念を提唱しています。これらの業績により1908年にはノーベル化学賞を受賞し、現在は「原子物理学の父」と呼ばれています。

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    『現代素粒子物語』
    物質の根源を追究する挑戦は、「原子核」から「素粒子」へと移り変わりました。粒子物理学の最前線ではなにが起こっているのか? 素粒子理論と超大型加速器が紡ぎだす「予言」と「発見」の物語をぜひ繙いてください。

    8月31日 アムンゼンが北極海横断に成功(1906年)

    1903年6月17日にノルウェーのオスロを出港した探検家アムンゼンが、北極海を通過してベーリング海峡にいたる「北極北西航路」の横断に成功し、この日、アラスカのノーム港に到着しました。この航海には約3年を要していますが、その理由は、地磁気のN極にあたる「北磁極」を確認するためにグリーンランドで約1年間の観測を実施したことや、船が氷に閉じ込められてしまったことだそうです。アムンゼンが乗った「ヨーア号」は、現在の観測船からすれば驚くほど簡単なものです(写真参照)。こんな船で、北極海を3年も航海するなんて、考えただけでも背筋が寒くなりますね。

    アムンゼンの乗ったヨーア号

     

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    『地球環境を映す鏡 南極の科学』
    そこはにはどんな世界が広がっているのか? 15回以上も南極を訪れている著者が、日常の生活とはかけ離れた南極のエピソードを分かりやすく、おもしろく語ります。

    9月1日 地球上で最後のリョコウバトが亡くなる(1914年)

    かつて北アメリカ大陸に生息していた「リョコウバト」の最後の一羽が、この日、アメリカ・オハイオ州のシンシナティ動物園で老衰のため死亡しました。リョコウバトは、史上最も多くの個体数を誇った鳥ともいわれ、19世紀初頭には約50億羽が生息していたと考えられています。しかし、食用を目的とした乱獲によって、100年間の間にその数は激減し、野生のリョコウバトは1907年を最後に確認されていません。動物園で生まれた最後のリョコウバトも1914年に死亡し、種は絶滅にいたりました。これほどたくさんいる鳥が絶滅するとは、当時、誰も考えていなかったそうですが、人々がその危機に気付いたときには、すでに取り返しがつかないほどに数が減っていたのです。

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    『サンゴ礁からの警鐘』
    「国内最大のサンゴ礁で97%白化、半分以上が死滅」昨秋、沖縄本島の南西に浮かぶ八重山諸島の美しい海から、飛び込んできた悲しく切ないニュースは、なにを意味しているのか? 20年におよぶ豊富な潜水取材経験をもつ科学ジャーナリストが、5回にわたって送る精緻なリポートをぜひご覧ください。

    9月2日 広中平祐がフィールズ賞を受賞(1970年)

    1962年に「代数多様体の特異点の解消」、1964年に「解析多様体の特異点の解消」を発表し、4次元以上の一般解を与えた業績により、数学者の広中平祐がフィールズ賞を受賞しました。フィールズ賞は、4年ごとに開かれる国際数学者会議で、それまでの4年間に最も優れた業績をあげた数学者2~4名に送られる賞です。カナダの数学者J・C・フィールズの基金によって創設され、「数学のノーベル賞」と言われています。
    ところで、ブルーバックスの全タイトルを確認できる『ブルーバックス解説目録』の存在をみなさんご存じでしょうか? この目録の最後のページには、広中先生が「知る楽しみ 知る喜び」という一文を寄せてくださっています。まだご覧になっていない方は、ぜひ、下記のリンクから目録を入手してみてください。

    『ブルーバックス解説目録 2017年版』

    9月3日 免疫学者のバーネットが生まれる(1899年)

    インフルエンザA型ウイルスの分離・培養に成功したことで知られる免疫学者のフランク・マクファーレン・バーネットが、この日、オーストラリアに生まれました。バーネットは、メルボルン大学で医学を学び、動物ウイルスやバクテリオファージ(細菌を宿主にするウイルス)の研究から、免疫全般の仕組みの解明に取り組みました。もっとも有名な業績は、1960年のノーベル賞受賞の理由ともなった「後天的免疫寛容の発見」です。「免疫寛容」とは、異物を排除するはずの免疫が、なぜか寛大に抗原を受け入れてしまう状態のことで、現代の免疫学に残された最大の謎といわれています。バーネットは、生物学者のメダワーとともに、人工的に「免疫寛容」を作り出すことに成功したのです。

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    『現代免疫物語』
    一度かかった病気には二度とかからない。私たちの体に備わった、免疫という驚異の仕組みを「物語」仕立てでやさしく解説します。続編の『新・現代免疫物語』 『現代免疫物語beyond』もあわせておすすめです。

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