【サイエンス 7days】 第84回 9月4日~9月10日

  • 2017/09/04

    • ニュース

    第84回 9月4日~9月10日
    世界最大の粒子加速器が始動

    地球のみなさん、こんにちは。毎度おなじみ、ブルーバックスのシンボルキャラクターです。今週も "サイエンス7days" のコーナーをお届けします。

    "サイエンス7days" は、あの科学者が生まれた、あの現象が発見された、など科学に関する歴史的な出来事を紹介する「この日なんの日」のコーナーです。

    第84回は今日9月4日から9月10日までの一週間をみていきましょう。

    9月4日 発明王エジソンが初の送電を開始(1882年)

    この日、アメリカの発明王トーマス・エジソンが、200馬力の大型発電機による送電事業をニューヨークで始めました。6台の蒸気機関をつかった発電機で生み出された電流は、電線を通して各家庭へと送られ、エジソンが実用化した白熱電球を点灯するために使われました。当初、給電された電灯の数は400個程度だったと言われていますが、わずか1年後には1万個を超えるまでに急成長したそうです。ちなみに、エジソンが送電に用いたのは「直流電流」でしたが、これは長距離の送電には向かないものだったため、送電網が発展するにしたがって現在の「交流電流」による送電が主流になりました。

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    『交流の仕組み』
    電気とはなにか、直流と交流の違いから、単相交流、三相交流、交流モーターなど交流技術と、さらにインバータを中心にしたパワーエレクトロニクスまで、多くの図版を使い、初心者にも分かりやすく解説します。

    9月5日 宇宙探査機「ボイジャー1号」の打ち上げ(1977年)

    この日、木星と土星の探査を目的とした宇宙探査機「ボイジャー1号」が、アメリカ航空宇宙局(NASA)によって打ち上げられました。ボイジャー1号は1979年に木星に、1980年には土星に接近して写真撮影を行い、それぞれの惑星の衛星や環の構造について詳細な画像を地球に送りました。これらのミッションを成功させたあともボイジャー1号はさらに航行を続け、現在では太陽から200億キロメートル以上も離れた地点へと到達しています。これは、冥王星の公転軌道(平均60億キロメートル)をはるかに越えた距離で、太陽から噴き出す太陽風も届かない、太陽系の果てに到達していることになります。打ち上げから40年経った現在でも、一部の機器は作動し続けており、人類がもっとも遠くまで送り込んだ探査機として、これからも宇宙の謎を解き明かす手掛かりを与えてくれるはずです。

    ボイジャー1号が撮影した土星の写真(提供:NASA)

     

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    『太陽系シミュレーター』
    太陽系内での過去・現在・未来、2万年間の天体現象を、あらゆる地点・角度から見ることができる! あの日、あの時、あの地点で、星々はどのように瞬くのか? ご自宅のパソコンで太陽系旅行をお楽しみください。

    9月6日 物理学者のドルトンが生まれる(1766年)

    すべての物質は原子によって構成されるという近代原子論の提唱者として知られる物理学者ジョン・ドルトンが、この日、イギリスに生まれました。ドルトンは、小学校卒業後は独学で科学知識を身につけ、気象観測に取り組むうちに「気体」の物理的性質に興味を持つようになったそうです。1801年に、混合気体の全圧力は成分気体の分圧の和に等しいという「ドルトンの法則」を、1803年には、化学反応における元素の質量比が簡単な整数比になるという「倍数比例の法則」を発見しています。これらの発見の過程で、ドルトンがたどり着いたのが、気体は原子の単純な組み合わせでできているという原子論で、原子量と元素記号を提唱したたのも彼の功績です。

    ドルトンの元素記号 たとえば一番左上は現在の水素Hを表し、その下は窒素Nを表している。

     

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    『元素118の新知識』
    累計16万部突破のベストセラーがバージョンアップした、最新の「読む元素事典」です。アジア初・日本発の新元素「ニホニウム」ももちろん掲載! それぞれに個性的で、独自の働きや機能をもつ118個の元素たちを詳しく解説します。

    9月7日 有機化学者のケクレが生まれる(1829年)

    炭素は4個の原子と結合することができ、互いに結合して連鎖をつくるという古典有機化学構造論の基礎を確立した化学者のアウグスト・ケクレが、この日、ドイツに生まれました。ケクレの業績でとくに有名なのは、ベンゼンの6角の環状構造(炭素6個と水素6個の、いわゆる亀の甲構造)の発見です。この発見には、こんな逸話があります。ある日、ケクレは研究に疲れ、教科書を執筆している途中で椅子に座ったまま眠ってしまったそうです。すると、夢に、自分の尻尾を加えてぐるぐる回っているヘビが現れたのです。ケクレは、この夢をみてベンゼンの環状構造を思いついたと言われています。じつは、炭素が鎖状化合物をつくるという発想も、夢からインスピレーションを受けて思いついたとケクレ自身が書き残しています。この夢のエピソードが本当かどうかは諸説ありますが、それまでの研究の積み重ねがあったからこそ、このような発想が生まれたんでしょうね。

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    『「香り」の科学』
    ベンゼン環をもつ炭化水素は「芳香族炭化水素」と呼ばれます。その名の通り「芳香」を放つことから名づけられました。香りとはなにか? 化学物質としての匂いを詳しく解説した一冊です。

    9月8日 日本初の麦酒醸造所が竣工(1876年)

    この日、政府の北海道開拓使が札幌市に設立した日本初の麦酒醸造所が竣工を迎えました。日本における麦酒(ビール)のはじまりは、蘭学者の川本幸民(かわもと・こうみん)が1853年におこなった醸造実験とされていますが、本格的な醸造は1869年、アメリカ人のウィリアム・コープランドが横浜で「天沼ビール」を造ったことに始まります。開業当時の札幌麦酒醸造所の生産量は、年間で大ビン7万本ほどだったそうです。ちなみに、現在の日本のビール製造量は年間で大ビン84億本ほどで、数ある酒類の中でも最もよく飲まれているお酒です。

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    『ビールの科学』
    ビールのおいしさのすべてがわかる! 7000年ものあいだ人類に愛されてきたビールは、最先端の科学を駆使して、今も日々進化を続けている。その製造工程から家庭でおいしく飲むコツまで紹介!

    9月9日 コンピュータの9月9日問題が発生(2001年)

    コンピュータの内部には、現在の時刻を表示したり、ファイルの作成・更新日時などを管理するための「時計」が存在します。一般的なコンピュータでは、1970年1月1日0時を0秒とした経過秒数が記録されているのですが、2001年9月9日午前10時46分40秒、この秒数が10億秒(10桁)に到達し、これが原因とみられるシステムの不具合が各地で発生しました。この「時計」の桁数が8桁から9桁に増えたのは、コンピュータがまだそれほど普及していない1973年のことで、それ以降に作られたプログラムでは、時間の桁数は常に9桁だったのです。10桁に増えることが想定されていなかった一部のプログラムにおいて、システムが停止するなどの問題が発生しました。なお、桁数が11桁になるのは2286年のことです。ずっと先のことですので心配する必要はないような気がしますが、もしかしたら1970年代の開発者たちも同じように考えていたのかもしれませんね。

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    『入門者のLinux』
    WindowsやMacはある程度使えているから、今度はLinuxも使えるようになりたい! そんな方におすすめの一冊です。厚めの入門書にチャレンジするまえに、ぜひご一読ください。

    9月10日 世界最大の粒子加速器が始動(2008年)

    この日、スイス・ジュネーブ郊外にある、欧州原子核研究機構(CERN)の大型ハドロン衝突型加速器(LHC)が稼働を開始しました。LHCは直径27キロメートルの円形加速器で、陽子を光速の99.999999%の速度まで加速して衝突させることができます。2012年には、この実験装置によって発見された「ヒッグス粒子」が大きな話題となりました。現在もLHCは「超対称性」や「ダークマター」といったこの世界の根本にかかわる謎を解明するために、日々陽子を衝突させ続けています。

    ジュネーブの地下に建設されたLHCのトンネル(写真:CERN)

     

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    『ヒッグス粒子の発見』
    「質量の起源」を明らかにする標準理論の最後の1ピース=「ヒッグス粒子」は、いかに予測され、探索されてきたのか? 人類史上最大の実験装置を作り上げた科学者たちの苦闘と栄光の物語です。

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