直感を裏切るデザイン・パズル

直感を裏切るデザイン・パズル

著者 馬場雄二(ばば・ゆうじ)

脳と勝負する

まえがき

 コミュニケーションの80%は視覚によると言われ、最近は「見た目が9割」などのタイトルで本がベストセラーになり、流行語にもなったりしています。たしかに視覚は、情報化時代の五感のなかでの主役です。しかし、視覚は常に正しく情報を伝達するとは限らず、誤解さえ生み悪意をもって人をだます手段に用いられることさえある要注意の危険物でもあります。
 とはいえ、地平方向に現れた満月のほうが、なぜか天頂にある満月より大きく見える不思議さに代表されるように、錯視はいまだに定説がないものが多い不思議で魅力のある存在です。
 20年ほど前、新設された東北芸術工科大学のデザイン工学部で、恐らく全国初の「視覚の不思議」という講座を立ち上げました。この授業では、不思議な魅力のある視覚現象を楽しく追究することを目指して、毎週学生が古今東西の視覚的に不思議な情報やデザインを収集し、手品やパズルにアレンジして発表しました。私も以前から創作したり収集したりしてきた作品で学生と共演し、授業は毎回がまさに手品&パズル大会のように盛り上がりました。
 本書は、その授業やゼミの中で特に興味が持たれて好評だったパズルに、私が全国紙(朝日・産経ほか)に20年間連載してきたり、約30冊の自著からの作品も加えて「デザインパズル」とし、新書用にアレンジしてまとめたものです。
 「デザインを視覚的な遊びの視点から創作・研究する」を50年来のライフワークとしてきました。この不思議な魅力に満ちたテーマの面白さを広く皆さんにご披露することは、私のやりがいのある喜びでもあるのではないかと勝手に思い込み、デザインを目指し始めた頃、パズルが感動させてくれた恩返しも兼ねて出版することにしました。
 本書では、4つの種類のデザインパズルを紹介していきます。
 まず第1章では、「錯視」を使って直感力を試すデザインパズル。錯視とは、目の錯覚によって、なぜか事実と異なって見えてしまう現象です。あなたの直感は正しいのか、正解とのギャップに驚くことでしょう。
 第2章は、空間認識力を使うデザインパズルです。問題を読んで、頭の中だけで考えて答えを導き出してください。立体的に物事を捉えようとすると、普段は使わない脳の部分が活性化されると言われています。
 第3章は、ペンと紙を使って解くデザインパズルを集めました。実際に紙に絵を描いてみたり、紙を切ったり折ったりしながら、試行錯誤してください。手を動かす作業は脳に刺激を与え、ボケ防止にも有効です。
 第4章は、発想力を鍛えるための、数字を使ったデザインパズル。いつもと同じ考え方をしていたらなかなか解けない問題ばかりです。正解がわかったときには、「ひらめき」の快感が得られるはずです。
 パズルを解く行為は、脳の活性化に効果的であることは定説に成りつつありますし、人生の楽しい遊びでもあります。老若男女を問わず楽しめ、家庭や職場でのコミュニケーションの素材にもなります。
 創作してきた自作に、古今東西の錯視の原理やパズルの名作を、デザイン的視点でアレンジを加えてまとめました。新鮮な感動で面白さを実感していただけることを期待しています。

著者 馬場雄二(ばば・ゆうじ)

1938年、長野県生まれ。ヴィジュアルデザイナー。東北芸術工科大学名誉教授。東京芸術大学大学院修了。文字やデザインを遊びの視点から創作・研究するとともに、フジサンケイグループ、NEC、西武百貨店、学研などで、CI計画、グラフィック、商品開発などを手掛ける。長野冬季五輪デザイン検討委員会委員長も務めた。世界カレンダー賞金賞、「漢字博士」でおもちゃ大賞、グッドデザイン賞などを受賞。ゲームの開発や著書も多数。全国紙(朝日・産経)に20年間パズルを連載。

[B1928]

直感を裏切るデザイン・パズル 脳と勝負する

著:馬場雄二

不思議な視覚現象が起こるデザインを使ったパズルの傑作集。脳を柔らかくし、直感力を鍛えます! 子供から、もの忘れが気になってきた人まで。

定価 : 本体780円 (税別)

ISBN : 978-4-06-257928-5

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