【サイエンス 7days】 第56回 2月20日~2月26日

  • 2017/02/20

    • ニュース

    第56回 2月20日~2月26日
    国産初の静止衛星打ち上げ

    地球のみなさん、こんにちは。毎度おなじみ、ブルーバックスのシンボルキャラクターです。今週も "サイエンス7days" のコーナーをお届けします。

    "サイエンス7days" は、あの科学者が生まれた、あの現象が発見された、など科学に関する歴史的な出来事を紹介する「この日なんの日」のコーナーです。

    第56回は今日2月20日から2月26日までの一週間をみていきましょう。

    2月20日 アレルギーの日

    免疫学者の石坂公成(きみしげ)・照子夫妻が、ブタクサが引き起こす花粉アレルギーの研究から免疫グロブリンE抗体(IgE)を発見し、1966年のこの日、アメリカのアレルギー学会で発表しました。この発見は、本来は外界から自分自身を守るための免疫のシステムが、アレルギーの原因となっていることを突き止めた画期的な成果です。この業績を記念して1995年、財団法人日本アレルギー協会は、この日を「アレルギーの日」と制定し、患者さん向けや医療従事者向けにさまざまな啓発活動を行っています。今年もそろそろ花粉が飛びはじめる季節です。花粉症は症状が出はじめる前の対策が大切とのことですので、みなさんも今から気をつけてくださいね。

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    『新しい免疫入門』
    免疫という極めて複雑で動的なシステムのなかで、無数の細胞がどう協力して病原体を撃退するのか。免疫研究の世界的権威・審良静男先生と、B細胞研究の第一人者・黒崎知博先生が、最新の知見をふまえて詳しく解説します。

    2月21日 X線天体観測衛星「はくちょう」打ち上げ(1979年)

    この日、宇宙科学研究所が宇宙X線を観測するための科学衛星「はくちょう」を、鹿児島宇宙空間観測所から打ち上げました。搭載されたコイルに流れる電流と地球磁場との相互作用によって、衛星は向きを自由に変えることができ、この仕組みによって多数の天体を観測することが可能となりました。打ち上げから6年後の1985年4月15日に、大気圏に突入し運用を終えるまで、8つのX線バースト天体(中性子星表面での熱核反応の暴走現象)の発見や、ブラックホールの候補天体である、はくちょう座X‐1の観測など、多くの成果がこの衛星から生まれています。

    衛星「はくちょう」(写真:NASA)

     

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    『宇宙最大の爆発天体ガンマ線バースト』
    宇宙には「○○バースト」と呼ばれるさまざまな爆発現象がありますが、そのなかで最大の爆発がガンマ線バーストです。宇宙の始まりや、ブラックホールの謎を解くカギとなる想像を超えた大爆発に迫ります。

    2月22日 吉野ヶ里遺跡で大規模な環濠集落を発見(1989年)

    吉野ヶ里遺跡は、佐賀県神埼郡吉野ヶ里町と神埼市にまたがる、弥生前期~後期の遺跡です。この日、吉野ヶ里遺跡の周囲に約2.5キロメートルに達する深い外濠がめぐらされ、内濠(南北150メートル、東西100メートル)や城柵にあたる土塁、物見櫓と推定される建物などが存在していたことが確認されました。巴形銅器(青銅製の装飾品)などの鋳型、銅剣、ガラス製管玉、鏡などが出土し、『魏志倭人伝』の記述とよく合致することから、邪馬台国に関係する遺跡ではないかという説もあるそうです。近年、このような遺跡の調査で注目されているのが、「放射性炭素年代測定」とよばれる科学的な年代の測定法です。じつはこの測定法、日本の湖の底で発見されたあるものがカギになっているのだとか……、詳しくは下記のおすすめ関連書籍をどうぞ。

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    『人類と気候の10万年史』
    福井県の水月湖に堆積する「年縞」は、何万年も前の出来事を年輪のように1年刻みで記録し、現在、年代測定の世界標準になっています。その年縞が明らかにした、激変する気候の歴史に迫ります。

    2月23日 国産初の静止衛星打ち上げ(1977年)

    この日、宇宙開発事業団は、「N-1ロケット3号」に積まれた技術試験衛星「きく2号」を、種子島宇宙センターから打ち上げました。この衛星は26日に赤道面上の円軌道に入り、その後、軌道修正によって周回周期を地球の自転周期23時間56分4秒に近づけ、3月3日、東経130度の赤道上空で、日本初の静止衛星となりました。きく2号は、静止軌道への投入や、静止軌道を保つ制御などの実証試験のための衛星でしたが、この成功をうけて、同年の7月には、実用静止衛星として気象衛星「ひまわり」が打ち上げられることとなりました。わたしが地球にやってきたときには、まだ10機程度しかなかった人工衛星も、このころにはすでに2000機以上が打ち上げられていました。急に地球のまわりが騒がしくなったので、火星のみんなも驚いていましたね。

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    『新しい航空管制の科学』
    現在の航空管制は飛行場の管制塔からではなく、宇宙を飛ぶ100機以上の人工衛星によって行われている!? 知られざる「空の交通整理」の事情を、第一人者が詳しく解説します。

    2月24日 グレゴリオ暦制定(1582年)

    この日、ローマ法王グレゴリウス13世による暦法改正の勅が出され、それまで使われていたユリウス暦を修正した新しい暦(グレゴリオ暦)が施行されました。この改訂は、当時ユリウス暦で毎年3月21日と決められていた、キリスト教の祭日「復活祭」の日が、もともとの定義であった春分の日から徐々にずれてしまったため、これを解消するために行われたものです。ユリウス暦は1年を365.25日として作られた暦ですが、物理的な1年の長さ(地球が太陽の周りを一周する時間)は、約365.242189572日です。グレゴリオ暦では、2月29日の閏日を一定の規則に基づいて挿入することで、1年の長さが平均365.2425日となるように運用されています。なお、このグレゴリオ暦でも調整は完璧ではなく、現在でもときどき閏秒が挿入されているのはこのためです。

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    『ブルーバックス科学手帳 2017年度版』
    グレゴリオ暦に従って生活している私たちに欠かせない、毎日の科学ネタ満載の、4月始まりスケジュール手帳です。中身の紹介ページもぜひご覧ください。

    2月25日 箱根用水の完成(1670年)

    この日、箱根芦ノ湖の水を、静岡県裾野市まで灌漑のために導いた箱根用水(良村〔ふから〕用水)が完成したとされています。この用水は1666年に着工し、完成までに約33万人が動員されました。箱根外輪山湖尻峠の下に長さ約1.34キロメートルのトンネルを、手作業で掘り開けて作られた水路は、取入口と取出口の標高差が9.8メートル、全長は7キロメートルに及びます。現在のようなコンピュータや掘削機械がなかった時代に、どうやってこれだけの大工事を成し遂げたのか。当時の土木技術の高さには驚かされるばかりです。

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    『日本列島100万年史』
    日本各地の用水には、その土地の地形の情報と、そこで暮らした人々の知恵が詰まっています。複雑な地形に富んだ列島の成り立ちを解き明かす、驚きに満ちた日本列島史です。

    2月26日 物理学者アラゴーが生まれる(1786年)

    この日、光学・電磁気学の発展に貢献した数学者・物理学者フランソワ・アラゴーが、フランス南部の小村エスタジェルに生まれました。パリのエコール・ポリテクニクで学んだアラゴーは、物理学者のビオ(ビオ=サバールの法則で知られる)とともに子午線測量に従事し、その業績から23歳の若さでエコール・ポリテクニクの教授に選ばれます。さらに、フレネルとともに行った光の波動説を実証、電流による鉄の磁化の実験、電磁誘導の先駆的研究など、光学・電磁気学の分野でたくさんの業績を残しました。また、政治家として科学技術振興などにも取り組み、フランス二月革命の際には、臨時政府の首相を務めたこともあるそうです。科学者が政治家として活躍するというのは、あまり日本では想像できませんが、科学知識が社会でより必要とされている現在こそ、そういう人が必要とされているのかもしれません。

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    『新しい科学論』
    「自然科学は、けっして人間や人間社会から切り離された、中立の道具などではない」。人間にとって科学とは何なのかを考える、40年近く読まれ続けている科学論の名著です。

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